日本における金環日食(2012年5月21日)への取り組みとその成果について
―リスク・コミュニケーション面からの検証―
全体概要
日食を観察することは日食網膜症などの障害を生じるリスクを伴う。本発表では、日本の天文コミュニティーが取り組んだ日食リスク・コミュニケーション活動を点検・検証することで、今後の日食リスクをはじめ科学リスクを適切に市民に伝える上での問題点を抽出する。
今回、日本の天文コミュニティーは積極的なリスク・コミュニケーション活動を展開し、その結果として日食網膜症の発症や交通事故を減らす等の一定の成果が得られた。本調査では2千万人(国民の2割弱)程度が当日、日食を目撃したと推定した。過去の日食時に比べ日食網膜症の発症率は低かったと推察される。
今後は国として日食網膜症の危険を認知し、日食グラスをはじめとする太陽観察用具の安全基準を策定し、工業製品としての規格を明確にすることが必要である。
主となる講演
関連する発表
- Y09a 2012年金環日食を迎え撃つ;2012年金環日食日本委員会の活動報告 大西浩次(2012年金環日食日本委員会)
- Y14b 全国調査からわかった学校における金環日食に対する取り組みの状況 飯塚礼子(日食情報センター)
- Y15b 新聞報道は2012年の金環日食をどう伝えたか 小野智子(国立天文台)
- Y23a 2012年金環日食日本委員会の広報物はどのように使用されたか 大川拓也(2012年金環日食日本委員会)
- Y24a 日食観察グラスの安全性について 齋藤 泉(栃木県子ども総合科学館天文課)
- Y25a 5月21日金環日食による眼障害の発生状況 大鹿哲郎(日本眼科学会)