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「ルーリン彗星見えるかな」キャンペーンページタイトル画像

カメラ(デジタルカメラ)で撮影する方法

 ルーリン彗星は、地球に比較的接近するため、少々大きめに見えると予想されます。普通の星と違って面積体に写るため、性能が良いデジタルカメラならば、ちょっとした工夫で撮影することができるかもしれません。
 このページでは、デジタルカメラで撮影する際のヒントをご紹介します。

デジタルカメラで撮影してみよう

 彗星はとても淡い天体です。このため、デジタルカメラで撮影するには、シャッターをしばらくの間あけたままにしておいて、光を貯めることのできる機能が必要となります。このような機能を持つデジタルカメラならば、ルーリン彗星を映し出すことができるかもしれません。

 デジタルカメラでも、特に「一眼レフデジタルカメラ」と呼ばれる機種のものは、30秒程度の長時間露出が可能な機種が多いです。このようなカメラをお持ちの人は、写る可能性が高いので、ぜひチャレンジしてみましょう。

 コンパクトタイプのデジタルカメラの場合は、少々難しいかもしれません。しかし以下のような設定ができる場合には、写し出すことができるかもしれません。カメラの性能にもよりますが、試してみてはいかがでしょうか。

 なお、携帯電話のカメラで撮影することは、残念ながら難しいでしょう。

三脚を使ってカメラの向きを決める

 シャッタースピードが長くなると、手持ちではどうしても手ぶれしてしまいます。彗星の撮影をする場合には、三脚などを使ってカメラが動かないように固定してください。

 なおカメラの向きは、土星やしし座の星などと比較して、カメラの範囲(写野)内にルーリン彗星が入るようにします。カメラのファインダーでは彗星自体が見えなくても、写る場合がありますので、まずは撮影してみましょう。

シャッタースピード(露出時間)について

 シャッタースピードですが、彗星は淡い天体なので(一般的には)最低でも15秒程度の露出が必要となります。ただし「彗星の存在がわかればよい」ということであれば、これより短くても写るかもしれません。15秒と30秒など、いくつか試してみましょう。
 なお、高い感度(後述)が設定できる機種では、市街地で撮影した場合、30秒では空が白くなってしまうことがあるかもしれません。その場合は、感度を下げたり、絞りの値を大きくしたり、露出時間を短くしたりしてお試しください。

 バルブ(B)機能があるカメラならば、レリーズを使うことでさらに長時間シャッターを開けておくことができます。空の暗い場所ならば、より写りやすくなりますが、ただしあまり長時間では、日周運動で彗星が動いてしまいます。
(ただし、星が筋のように写る写真をあえて撮影してもよいでしょう。)

ピントについて

 彗星や星は、地球上のどんな景色よりも遠くにあります。このためピントは、無限遠に合わせるようにします。マニュアルフォーカスを選択できるカメラ(レンズ)ならば、レンズの「∞」に合わせましょう。
 オートフォーカスしかないカメラの場合でも、「風景撮影」などのモードを利用すると、撮影することができる場合があります。

絞りについて

 絞りの調整ができるカメラでは、絞りをいちばん小さい値にします。絞りの値が小さいほど、暗いものが写りやすくなります。

感度について

 感度の調整ができるカメラの場合、感度をなるべく高くしましょう。「ISO」というのが感度を表す値です。値が大きいほど感度が大きくなります。(例えば、ISO100とISO400でしたら、ISO400のほうが4倍の感度があるということになります。)
 ただし、ISO800とか、ISO1600など、非常に高い感度設定ができるカメラでは、市街地で撮影した場合、空全体が白くなってしまい、彗星や恒星さえ写らなくなることがあります。そのような機種の場合は、感度設定を少し低めにすることも必要になります。

焦点距離について

 ルーリン彗星は、地球に接近するせいで少々大きめに見えるため、標準的な焦点距離(35mm〜50mm)でも写すことができるでしょう。
 ズームレンズの場合は、いくつかの焦点距離で写り具合を試してみましょう。

 彗星を大きめに写すためには、望遠レンズや、ズームレンズの望遠側で撮影することが必要になります。しかし、星の動きが早くなったり、絞りの値が大きくなって暗くなったりすることで、写りづらくなる場合もありますので、注意が必要です。

まずはチャレンジしてみよう!

 空やまわりの人工灯火の状態、それぞれのカメラの性能など、様々な条件によって、カメラをどのように設定すればよいのかは違います。事前にテストをしたり、撮影した画像を見ながら設定を変えるなどして、いろいろと試してみてください。

 ※それぞれのカメラの設定方法などは、カメラに付属する取扱説明書をご覧になるか、カメラメーカーにお尋ねください。

専門的な撮影について

 専門的に彗星を撮影するには、星の動きに合わせてカメラの向きを動かすことのできる架台(赤道儀など)も必要となります。さらに彗星を大きくはっきり写し出すためには、望遠レンズや望遠鏡で撮影しますが、このような場合には、ルーリン彗星の移動が早いため、厳密には彗星の動きに合わせて調整する装置(機能)も必要となります。
 このページでは、このような専門的な撮影ではなく、お手持ちの機材で彗星が写るかどうかチャレンジしてもらうことを意識して、撮影のヒントをご紹介しました。あらかじめご了承ください。

 なお専門的な撮影方法については、専門書などご参照ください。

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作例画像

 一眼レフデジタルカメラを三脚に載せて、固定撮影した作例画像をご紹介いたします(画像をクリックすると拡大表示します)。
※画像は、比較的空の暗い場所(山梨県富士河口湖町)にて、天文情報センターが撮影しました。

50mmレンズによる作例画像

露出時間:30秒
ピント:無限大(マニュアル)
絞り:F1.8
感度:ISO1600
焦点距離:50mm

矢印の先の青っぽいぼんやりとした像がルーリン彗星です。

2月7日5時13分
山梨県富士河口湖町にて

50mmレンズによる作例画像

彗星周辺だけをトリミングした画像です。
青緑色で、ぼんやりと広がっています。

50mmレンズによる作例画像

露出時間:30秒
ピント:無限大(マニュアル)
絞り:F1.8
感度:ISO400
焦点距離:50mm

ISO400での撮影です。彗星像は、かすかです。

2月7日5時13分
山梨県富士河口湖町にて

50mmレンズによる作例画像

彗星周辺だけをトリミングした画像です。

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