火星と地球の接近などについて、もう少し詳しく解説します。
トップページで解説した通り、火星と地球の接近は約780日(約2年2カ月)ごとに起こります。
今回の最接近は、12月19日8時46分(日本時)で、距離は8千8百万キロメートル(0.5893天文単位)です。ただしこの前後1〜2週間くらいではあまり距離は変わらず、観察好期です。
次回の火星の最接近は、2010年1月28日です。近年における、火星と地球の接近時期と距離を表にまとめました。参考にしてください。
◆最接近のデータ
最接近年月日 | 最接近時刻 | 接近距離 (天文単位) | 接近距離 |
---|---|---|---|
2001年6月22日 | 7時56分 | 0.4502 | 6734万km |
2003年8月27日 | 18時51分 | 0.3727 | 5576万km |
2005年10月30日 | 12時25分 | 0.4641 | 6942万km |
2007年12月19日 | 8時46分 | 0.5893 | 8817万km |
2010年1月28日 | 4時1分 | 0.6640 | 9933万km |
2012年3月6日 | 2時0分 | 0.6737 | 1億0078万km |
2014年4月14日 | 21時53分 | 0.6176 | 9239万km |
また接近位置は、下の図をご参照ください。
北極冠がわずかに見える火星
(下側の白い部分)
1990年12月5日撮影
火星は地球と同じような岩石質の惑星です。火星の岩石や砂は、酸化鉄 (赤さび) を多く含んでいるため、望遠鏡で見ると火星表面が全体的に赤っぽく、黄色からオレンジ色に見えます。また、岩石の成分の違いや地形の影響により、地表には黒っぽい模様が見られます。
さらに火星の季節によって、北極や南極には、氷やドライアイス (二酸化炭素が氷ったもの) でできた白い極冠 (きょくかん、きょっかんとも呼ばれる) という模様も見られます。接近の頃(12月)の火星面は、北半球で春になったところで、北極冠がわずかに見られそうです。観測条件がよければ、中継画像では画面の下側に白っぽく見ることができるでしょう。
望遠鏡で拡大して観察すると、地球の大気のゆらぎの影響で、天体像もゆらいでしまったり、ぼけて見えてしまったりします。この見え方の度合いを、シーイングと呼びます。風が強い日であったり、あるいは地平線近くに天体があるときには、シーイングが悪くなり、天体像がまるで川底の石を見るようにゆらいでしまいます。
今回の中継では(とくに前半の時間帯で)火星はやや低い空に見え、シーイングの影響を受けやすいです。また12月は季節風やジェット気流の影響で、シーイングが悪化しやすい季節です。残念ながら中継の際には、シーイングが悪くなる可能性が高いと言えるでしょう。このため、火星面の模様があまりよく見えないかもしれません。あらかじめご了承ください。