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天の川全国調査 8月5〜7日キャンペーン実施

天の川を見るには | 天の川の正体 | 関連情報

キャンペーンについて

スター・ウィーク実行委員会は、1995年より、8月1日〜7日の1週間を「スター・ウィーク」と名付け、夏休みを利用して子供から大人まで幅広く星に親しんでいただく週間として、毎年皆さんに呼びかけています。スター・ウィークを後援している国立天文台では、今年のスター・ウィークでのイベントのひとつとして、都会ではなかなか見えなくなった天の川を見ていただこうと、「天の川全国調査」キャンペーンをおこなうことにいたしました。

ここ数十年の間に、日本では人工の明かりが増え、天の川が見えるような、星のよく見える場所が少なくなってしまいました。皆さんの中にも「天の川を見たことがない」という方が、結構いらっしゃるのではないでしょうか。このキャンペーンに参加して天の川を見ていただくことで、本来の美しい星空を楽しむきっかけにしていただければと願っています。

キャンペーンの内容ですが、8月5日の夜から8日の朝までの3晩、何県のどんなところで天の川が見えた・見えなかったという結果を、報告ページから報告してください。これまでのキャンペーンと同じように、携帯電話から参加することもできます。

「見えなかった」というのも立派な観察結果です。無駄だと思わずに報告してください。夏休みの方も多いと思いますので、遠出した先で星の観察ができるよい機会です。どんなところなら天の川が見えるのか、研究してみてもよいかもしれません。また、自分の観察結果と日本全国の皆さんの観察結果を比べてみるのも面白いでしょう。

皆さんのご参加をお待ちしています。


キャンペーンの報告受付は終了いたしました。ご協力ありがとうございました。集計結果については、下記からご覧になれます。
集計結果

携帯電話用のキャンペーンページへは、 http://www.nao.ac.jp/i/ からアクセスしてください。

報告をいただく内容としては、「観察した日時」、観察した都道府県と「大都市」「都市近郊」「郊外」「山間部」「島しょ部」の区別、天の川が「はっきり見えた」「見えたと思う」「見えたような気がする」「見えなかった」「天候が悪い」、および、天の川を見た回数と自由記述のコメントを予定しています。

ご報告いただいた方には、ささやかなプレゼントをご用意しました。報告後に表示されるページからダウンロードしてお楽しみください。

天の川を見るには

夏は天の川がよく見える季節

天の川は夏の星空でも冬の星空でも見ることができます。しかし、夏の天の川は冬の天の川よりもずっと明るいため、夏は天の川がよく見える季節なのです。

しかも、この時期は多くの方が夏休み中ですので、星があまり見えない都会を抜け出して、山や海など、星のよく見える場所に出かけるのにも都合がよいのではないでしょうか。

また、明るい月が出ていると、月の光に邪魔されて天の川は見づらくなってしまいます。しかし、今年は8月5日が新月のため、月はほとんど姿を見せず、月の影響はまったく気にしなくてよい好条件です。

(もちろん、曇っているときには天の川を見ることはできません。)

人工の明かりから逃れよう

天の川は、惑星や、星座を形作っている星に比べると、ずっと暗いものです。ですから、ネオンサインや街灯などの人工の光があると、その明るさに邪魔されてしまって見ることができなかったり、見るのがたいへん難しかったりします。

ですから、天の川を見るためには、まず、大きな都市からできるだけ離れるようにしましょう。東京のような大きな都市からは、100km程度離れなければならないかもしれません。それから、天の川を見ようとしている場所のすぐ近くには、街灯や家の明かりなどができるだけないところを選びましょう。近くの光を木や丘などで隠し、直接目に入らないようにするだけで、星の見え方がずいぶん変わることもあります。

人工の光の影響ができるだけ少ない場所を選んだら、今度は目を暗さに慣らしましょう。明るい部屋の中から暗い屋外に出て、すぐに天の川を見ることができるわけではありません。人間の目が星空の暗さになれるまでには、暗い場所で5分から15分程度、目を慣らすことが必要です。屋外に出てすぐは星が数えるほどしか見えないと思いますが、目が慣れるにしたがって、たくさんの星が見え始めるでしょう。

天の川はこんなふうに見える

8月中旬午後9時頃 東京の星空

キャンペーン期間には、19時前後に太陽が沈みます。(場所によって時刻は違います。)日の入から1時間半ぐらいで空は真っ暗になりますので、そのころに空を眺めてみましょう。南の空の低いところから、頭の真上よりやや東側を通って、北東の地平線まで延びていく、光の帯が見えるはずです。それが天の川です。見慣れていないと雲だと思ってしまうかもしれません。

以下の図は、8月の午後9時頃の東京での星空です。ぼやけた白い帯のように描かれているのが天の川です。多少時刻が違っても天の川の位置はあまり変わりませんし、東京以外の場所でもそのままこの図が使えると考えてよいでしょう。(図をクリックすると大きく表示されます。)

普通の星はひとつひとつが光の点として見えますが、天の川はぼーっと淡く光る、幅を持った光の帯のように見えます。よく見ると、明るさも幅も一定でないのがわかるはずです。南の空の低いところにいちばん明るくて太い部分があり、北にたどるにしたがって暗くなっていきます。

天の川がどの方向に見えるかは、見る時刻によって違います。キャンペーン期間中、それぞれの時刻に見える星空は、以下の図を参考にしてください。(8月でない他の月の星空が表示されますが、間違いではありません。例えば、8月の22時に見える星空は、9月の20時(午後8時)の星空と同じです。)
22時頃 | (午前)0時頃 | (午前)2時頃

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天の川の正体

円盤に沿った方向と円盤に垂直な方向から見たときの銀河系の想像図

ギリシャ神話では、星座にもなっている英雄ヘルクレスが赤ん坊のときに、ゼウスの妻ヘラの乳房を強く吸ったために、飛び散った乳が天の川になったといわれています。(英語では天の川のことをミルキー・ウェイと呼びます。)また、中国・日本の七夕伝説では、織姫と彦星を隔てる川に見立てています。

実際、天の川を肉眼で見ると、ぼーっとしていて川や乳、あるいは雲のように見えます。しかし、双眼鏡や望遠鏡を使って見てみると、天の川は、実はたくさんの暗い星の集まりであることがわかります。

私達の太陽系は、「銀河系」という二千億個ぐらいの恒星の大集団の中にあり、私達の太陽もその恒星のひとつです。銀河系全体は、直径約10万光年の薄い円盤のような形をしていて、私達の太陽系は、銀河系の中心から約3万光年の、円盤のほぼ中心面上に位置します。

地球から銀河系の円盤にそった方向を見ると銀河系の中の星が密集して見えます。星が密集した部分は銀河系の円盤に沿って私達のまわりを一周していて、これが、地球上からは天の川として見えるのです。ただし、天の川の一部はずっと南のほうにあるため、日本からは見ることができません。一方、円盤からそれた方向を見ると、星はあまりたくさんは見えません。

天の川の写真
いて座を中心にした天の川
画像提供・著作権者:津村光則
(クリックすると大きく表示されます)

天の川の明るさが季節によって違う理由も説明できます。天の川がいちばん明るく見えるのは、夏の夜空で南の空の低い位置にある、いて座のあたりです。実は、星が最も厚く密集している銀河系の中心が、ちょうどこのいて座の方向にあるために、天の川が明るく太く見えているのです。反対に、冬の天の川は、銀河系の外に向かう方向を見ていることになるため、それほど多くの星が見えません。そのために天の川もそれほど明るくは見えないのです。

いて座の方向を中心に天の川を撮影した写真を見ると、いびつながらも、銀河系を円盤に沿った方向から見たときの姿によく似ているのがわかるのではないでしょうか。

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