日食は終了しました。
「日食」とは、月が太陽の前を横切るために、月によって太陽の一部(または全部)が隠される現象です。太陽が月によって全部隠されるときには「皆既日食」と呼ばれ、太陽のほうが月より大きく見えるために月のまわりから太陽がはみ出して見えるときには「金環日食(または金環食)」、今回のように、太陽の一部しか隠されないときには「部分日食」と呼ばれます。
日食は、見る場所によって、どのくらい深く欠けるかも違いますし、日食が始まる時刻や一番大きく欠ける時刻・日食が終る時刻も違います。
今回の日食は、日本全国で見ることができるわけではありません。九州の南西より南や沖縄は、今回の日食が見られる範囲の外にあり、残念ながら太陽が欠けることはありません。
それ以外の場所では日食を見ることができ、北に行くほど大きく欠けます。(日食の欠ける深さを「食分」という数値で表します。食分0.1とは、太陽の直径の10%が欠けることを意味しています。)福岡では食分がわずか0.034ですが、京都では0.158、東京で0.239、仙台0.300、札幌0.380です。
次の図は、主な都市で太陽がどのくらい欠けるかを絵で示しています。クリックすると、図を大きくしてご覧になることができます。
津村光則氏(和歌山県)作成 (C)Mitsunori Tsumura 2004
主な都市で日食が始まる時刻・最大になる時刻・終る時刻は以下の表をご覧ください。
都市名 | 食の始めの時刻 | 食の最大の時刻 | 最大食分 | 食の終りの時刻 |
---|---|---|---|---|
札幌 | 10時27分15秒 | 11時31分50秒 | 0.380 | 12時36分26秒 |
仙台 | 10時37分57秒 | 11時38分15秒 | 0.300 | 12時38分26秒 |
東京 | 10時45分19秒 | 11時40分53秒 | 0.239 | 12時36分19秒 |
京都 | 10時49分38秒 | 11時35分51秒 | 0.158 | 12時22分15秒 |
福岡 | 11時7分15秒 | 11時29分33秒 | 0.034 | 11時51分53秒 |
今回の日食は、地球上のどの場所で見ても、皆既日食や金環日食にはなりません。地球上で一番欠けるのはアラスカから見た場合で、食分は0.93です。
日食を肉眼で直接見ることは避けてください。太陽の光と熱はたいへん強いですので、目を痛めてしまい、最悪の場合には失明してしまう危険性もあります。(望遠鏡などを使わずに)肉眼で日食を観察するのでしたら、日食観察専用のメガネが販売されていますので、そういうものを入手してお使いください。
安全に日食を観察する方法としては、小さな穴を開けた紙を使う方法があります。穴を開けた紙を太陽の光にかざしてその影を観察すると、穴を通った太陽の光が影の中に映り、その光が太陽と同じ形をしているのがわかるはずです。箱などを利用してまわりからの余計な光を遮れば、映った太陽の像はもっとはっきり見えるでしょう。また、太陽の像の大きさは、穴からの距離が遠いほど大きくなりますので、大きな箱が用意できればそれだけ大きな太陽の像を観察することができます。以下の絵を参考にして、工作をしてみてはいかがでしょうか。(箱の中に頭を入れずに、太陽の光が入る穴の横にのぞき穴を開けるというやり方もあります。)
津村光則氏(和歌山県)作成 (C)Mitsunori Tsumura 2004
望遠鏡を使う場合には、太陽に向けた望遠鏡の接眼鏡(アイピース)の先に投影板を置き、そこに置いた白い紙に太陽の像を投影すれば安全です。この方法でしたら、太陽の強い熱や光で目を痛めることもありませんし、たくさんの人が同時に観察することができます。
望遠鏡を使う場合の別の方法として、太陽観察用の減光フィルターをつけて、他の天体を観察するときと同じように、接眼部から覗く方法もあります。ただし、減光が完全でないと目を痛めてしまいますので、十分注意してください。
いずれにしろ、あまり自信がない場合には、天文について正しい知識を持つ人に相談したり、地域の天文施設でおこなっている観望会に参加したりするとよいでしょう。
日本で次に見られる日食は、2007年3月19日に起こる部分日食です。しかし、この日食は、北海道・中国・四国・九州地方でほんのわずかに欠けるだけで、東北から関西まで本州のほとんどの地域では見ることができません。
そのあと、2009年7月22日には、九州の「トカラ列島」を中心に皆既日食が起こります。皆既日食は「トカラ列島」など一部の地域でしか見ることができませんが、北海道から沖縄まで日本全国で部分日食を見ることができます。
日食は終了しました。