電波で探る宇宙
問題1
ALMA望遠鏡は,複数の電波望遠鏡を組み合わせて,ひとつの大きな電波望遠鏡と同じ分解能をもたせています.これは,どのぐらいの大きさになると思いますか.
1. 東京ドーム,2.山手線,3.国立天文台三鷹キャンパス

答えは「2」です。
ALMAは直径12mの高精度アンテナ64台や超高精度アンテナ16台を組み合わせる巨大なハイテク電波望遠鏡で、日本、アメリカ、ヨーロッパが共同でチリ・アンデスの標高5000mの高原に建設することを計画しています。アンテナの間隔を最大14kmまで広げることで、直径14kmの電波望遠鏡に相当する解像力を得ることができます。この解像力は、すばる望遠鏡やハッブル宇宙望遠鏡の10倍で、大阪に落ちている1円玉を東京から見分けられる性能に相当します。
ミリ波やサブミリ波という、電波と遠赤外線の中間の電磁波を観測することで、光では見えない「暗黒」の宇宙を観測します。
ALMAのWebページ  http://www.nro.nao.ac.jp/~lmsa/

問題2
星と星の間にある「星間物質」は,星が誕生するときの材料になるとも考えられています.大部分はどの物質からできていますか?
1.水素分子,2.炭素,3.酸素や二酸化炭素

答えは「1」です。
目で見ることはできませんが、星と星の間には、ごくわずかに分子等のガスが含まれています。これが、濃くなっている部分を「星間雲」と呼びます。星間雲の成分の大半は、水素です。その他に、わずかですが、ヘリウム、水、一酸化炭素、アンモニア等が含まれています。最近の電波望遠鏡を使った観測で、更に、アルコール、糖、アミノ酸等が含まれていることがわかりました。今後、高性能の電波望遠鏡を使って、宇宙の中で物質がどのように合成されていくかを詳しく調べていきます。

問題3
オリオン大星雲では,何が起きていると思いますか?
1. 宇宙空間に何も物質がなくなっている,2.星が死んでいる,3.星が生まれている.

答えは「3」です。
冬の代表的な星座であるオリオン座。この星座を電波でみると巨大分子雲と呼ばれる 太陽の約10万倍もの質量を持つガスのかたまりが2つ、広い範囲に分布しています(数十光年)。これらの分子雲は太陽などの星が生まれるもととなるガスの塊です。 南側の分子雲中で一番電波の強いところには有名なオリオン大星雲(M42) があり、今まさに星が活発に生まれています。
野辺山のWebページ  http://www.nro.nao.ac.jp/

身近な天体
問題1
月はどうやってできましたか?
1.原始の地球に星が衝突し,その破片から生まれた,2.巨大な彗星がやってきて,それが地球の周りをまわり始めた,3.月はもともと惑星のひとつだったが,軌道がずれて地球の衛星になった

答えは「1」です。
原始の地球に火星ぐらいの大きさの天体がぶつかり,その衝撃によって,とけた岩石が地球の周りにばらまかれます。その岩石が地球のまわりを円盤状に広がり,その一部が,自らの重力でまとまり固まりはじめます。これが月の誕生です。計算してみると,月ができあがるまでにかかった時間は1ヶ月から1年という非常に短い時間だということがわかりました。

問題2
フレアとは何ですか?
1.太陽の表面上に現れる黒い斑点,2.太陽の表面から突然起こるエネルギーの噴出,3.太陽の外側の高温で希薄な大気層

答えは「2」です。
フレアとは,太陽面上の一部分で、突発的に多量のエネルギーが放出される爆発現象です。フレアでは、電子やイオンの加速あるいはガスの過熱といった様々な高いエネルギー現象が観測され、太陽物理学的に最も興味にある現象の1つです。また、大規模なフレアが発生すると、数日後に地球に電荷粒子がやってきて、磁気嵐やオーロラをもたらすといわれています。
国立天文台三鷹キャンパスにある太陽フレア望遠鏡では、太陽フレアを様々な視点から観測し、メカニズムの解明に取り組んでいます。

問題3
来年1月に,土星の衛星のひとつに小型探査機のホイヘンスを投下させる予定です.この衛星の名前は何でしょうか.
1.イオ,2.タイタン,3.フォボス

答えは「2」です。
1997年10月に打ち上げられたカッシーニ探査機が,6年8か月もの長い旅を続け,ついにこの夏,土星に到着しました.今後,カッシーニ探査機は、土星本体とその衛星について探査を行う予定です.12月末にカッシーニから小型探査機ホイヘンスが切り離され,来年1月に衛星タイタンへと投下される予定となっています.タイタンの大気には窒素が含まれていて,初期の地球の状態と似ていると言われています.今後,研究が進むにつれて,できた頃の地球についてわかるかもしれません.
 
天文台の望遠鏡
問題1
65cm望遠鏡の接眼部は床から高い位置にあり,このままでは届くことができません.どのようにして,望遠鏡をのぞいたのだと思いますか?
1.ロープを使って観測者をつり上げた,2.はしごをかけた,3.床がエレベータになっていた

答えは「3」です。
天文台歴史館の建物は,1926年に建築されました.地面からの高さが19.5m,ドームの直径が15mもある巨大な建築物です.当時,半球面を作る技術が建築業者にはなく,船底を作る技術を持った造船技師の力を借りて作られたといいます.
屈折望遠鏡としては,日本最大口径を誇ります.1929年に完成後,1960年に岡山天体物理観測所188cm反射望遠鏡が作られるまでは,最大口径機としてさまざまな観測に用いられました.特に長焦点の(筒の長い)望遠鏡を得意とする星の位置測定を主に行ってきました.1998年3月をもって研究観測から引退し,現在では日本の天文学の記念碑的存在として静態保存されているものの,故障個所があるわけではなく,今でも現役復帰可能な状態です.観測床(2階内側の赤茶色の床面)はエレベータ式に上下し,観測者は鏡筒の傾きにあわせて観測床を上下させることで,望遠鏡がどんな向きになっていても楽な姿勢で望遠鏡をのぞくことができました.

問題2
VERAの観測の精度はどのぐらいでしょうか.
1.東京にいる人が静岡にいる人とじゃんけんができる,2.東京にいる人が名古屋城の金鯱を見つけられる,3.月に落ちている一円玉が分かる

答えは「3」です。
VERAとは、VLBI Exploration of Radio Astrometryの略で、相対VLBIの手法により銀河系内のメーザー源の位置と運動をこれまでより100倍高い精度ではかり、天体の三角測量を基に銀河系の3次元地図を作成するプロジェクトです。国立天文台を中心に、多くの大学や研究所からさまざまな分野の研究者が参加して、計画がすすめられています。
その他,以下の研究がすすめられています。
1.銀河系の動力学とダークマターの分布
2.原始星や晩期型星のアウトフローの物理機構
3.メーザーの発生機構など、メーザーに関する物理
4.ミラ型変光星の周期光度関係などの宇宙距離尺度の精密化
5.クエーサーや電波銀河の構造や時間変動、それらを用いた観測的宇宙論

問題3
すばる望遠鏡の鏡は世界最大級の大きさです.どのぐらいの大きさでしょうか.
1.直径 3.7m,2.直径 8.2m,3.直径 21.3m

答えは「2」です。
すばる望遠鏡は、標高4,200m のハワイ島マウナケア山頂にある大型光学赤外線望遠鏡です。光を集める鏡の有効口径8.2mという大きさばかりでなく、画期的な観測性能を達成するために数々の新しい技術革新で装われた、新世代の望遠鏡です。前人未到の高い鏡面精度を維持する能動光学をはじめ、空気の乱れを押さえる新型ドーム、4つの焦点それぞれに備えられた独自の観測装置やそれらを効果的に用いるための自動交換システムなどがあります。
すばる望遠鏡の心臓部は、何と言っても有効口径8.2mの一枚ガラスの主鏡です。ULE (超低熱膨張)ガラスによる均質なガラスの製作に3年。それを削り、能動支持機構のための261個の穴を裏面に開け、ひっくり返して最高の精度に研磨するのに、さらに4年をかけました。

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