アストロ・トピックス
No.554: 板垣さん、うお座方向にある銀河に超新星を発見
山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、6月3日 (世界時、以 下同じ) の観測から、17.3等の超新星を発見しました。この超新星は、うお座 方向にある NGC 57 銀河の中にあり、板垣さんご自身が所有する口径60センチ メートルの反射望遠鏡 (f/5.7) を用いたCCD観測 (限界等級19.0等) により撮 影された複数の画像の中から発見されました。 この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報 中央局に報告され、この超新星は「2010dq」と命名されました。 この天体の発見日時、位置、発見等級は次のとおり。 発見日時 2010年6月3.71日 = 6月3日17時02分 (世界時) 赤経 0時 15分 29.70秒 赤緯 +17度 19分 41.0秒 (2000年分点) 発見等級 17.3等 板垣さんの観測によると、この超新星は NGC 57 銀河の中心から西に17秒 角、南に1秒角離れた位置にあります。なお、板垣さんは、発見前の5月31日に 撮影した同じ場所の画像 (限界等級18.5等) にも、この天体が18.0等で写って いたと報告しています。しかし、それ以前に撮影した画像には、2007年8月20 日の撮影 (限界等級19.0等) を含め、この天体は写っておらず、DSS (注) の 画像にもこの天体は写っていなかったということです。 板垣さんは去る5月9日と15日に、超新星を発見したばかりです。板垣さんに よる超新星の発見は、これで今年に入って4個目です。また、今回の発見を含 めた超新星の通算発見数は60個 (独立発見を含む) となり、日本人アマチュア 天文家による超新星発見個数の最多記録をさらに更新中です。 注:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエ ル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オースト ラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化し たもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体 まで写っている。 参照: CBET No. 2303 : SUPERNOVA 2010dq IN NGC 57 (2010 Jun 3) 国立天文台 アストロ・トピックス (552) 板垣さん、おとめ座方向にある銀河に新たな超新星を発見 http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000552.html 日本人が発見した超新星一覧 (国立天文台) http://www.nao.ac.jp/new-info/supernova.html 2010年6月8日 国立天文台・広報室