アストロ・トピックス

No.551: 板垣さん、おとめ座方向にある銀河に超新星を発見

 山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、5月9日 (世界時、以
下同じ) の観測から、17.5等の超新星を発見しました。この超新星は、おとめ
座方向にある NGC 4877 の中にあり、板垣さんご自身が所有する口径60センチ
 メートルの反射望遠鏡 (f/5.7) を用いたCCD観測 (限界等級19.0等) により
撮影された複数の画像の中から発見されました。
 この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報
中央局に報告され、この超新星は「2010cp」と命名されました。
 この天体の発見日時、位置、発見等級は次のとおり。

発見日時 2010年5月9.581日 = 5月9日13時57分 (世界時)
赤経 13時 00分 25.79秒
赤緯 -15度 17分 19.8秒 (2000年分点)
発見等級 17.5等
 板垣さんの観測によると、この超新星は NGC 4877 銀河の中心から西に8秒
角、南に19秒角離れた位置にあります。板垣さんは、今年5月1日の撮影 (限界
等級17.5等) も含め、これまでにこの場所を観測していましたが、いずれの画
像にもこの天体は写っていませんでした。また、DSS (注) の画像にもこの天
体は写っていませんでした。

 宮城県大崎市の遊佐徹 (ゆさとおる) さんは、5月10日にアメリカのニュー
メキシコ州にある口径25センチメートルの反射望遠鏡 (f/3.4) を遠隔操作し
て撮影したCCD画像 (限界等級19.5等) の中に、16.8等のこの天体を確認して
います。

 板垣さんによる超新星の発見は、3月11日の2010aiに続き、今年に入って2個
目です。また、今回の発見を含めた超新星の通算発見数は58個 (独立発見を含
む) となり、日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の最多記録をさら
に更新中です。

注:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエ
ル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オースト
ラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化し
たもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体
まで写っている。

 

参照:

 CBET No. 2276 : SUPERNOVA 2010cp IN NGC 4877 (2010 May 11)

 国立天文台 アストロ・トピックス (541)
  板垣さん、かみのけ座方向にある銀河に超新星を発見
   http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000541.html

 日本人が発見した超新星一覧 (国立天文台)
  http://www.nao.ac.jp/new-info/supernova.html

 

      2010年5月12日            国立天文台・広報室