アストロ・トピックス
No.542: アルマ、日本のアンテナ愛称が決定
このたび、チリのアタカマ砂漠に建設を進めている巨大電波望遠鏡アルマ ( アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計) で、日本のアンテナ16台の愛称が決定 しました。 愛称の募集を行ったところ、全国から約2000件の応募がありました。その中 から、3月2日に開催された選定委員会 (委員長:松本零士 (まつもとれい じ) ) (注1) で慎重に審議した結果、「いざよい」 (注2) が選定されまし た。 今回の愛称募集キャンペーンは、2009年12月8日から2010年2月14日までの募 集期間で、18歳以下を応募対象として行われました。応募総数約2000件の中 で、愛称に決定した「いざよい」を提案したのは、2番目に多い28名でした。 この愛称の選定理由は、次のとおりです。 日本のアンテナの台数「16」との数の一致 夜空、天体、宇宙のイメージとの一致 美しい大和言葉であること アルマは、チリの標高約5000メートルの高地に広がるアタカマ砂漠に、東ア ジア、北米、ヨーロッパがチリ共和国と協力して建設を進めている巨大電波望 遠鏡で、2012年の本格運用開始を目指しています。東アジアでは、国立天文台 がこの計画の中心的役割を担っています。 アルマを構成する66台以上のアンテナのうち、日本が開発を担当しているの は16台 (直径12メートルアンテナ4台と直径7メートルアンテナ12台) です。こ のうち、12メートルアンテナ1台は、昨年9月に標高約5000メートルの山頂施設 に一番乗りし、その後到着した北米のアンテナ2台と合わせ、昨年11月には3台 での干渉計観測に成功しました。山頂施設と標高約2900メートルの山麓施設に 設置されている日本のアンテナは、現在は合計5台となっています。 アルマが完成すると、ハッブル宇宙望遠鏡の約10倍の解像度で、可視光では 見えない暗黒の宇宙を探ることができます。太陽系がどうやってできたのか、 銀河はどのように誕生したのか、生命の元となる材料はどこからやってきたの か、など、宇宙の謎や生命の起源を解明します。 注1:選定委員会 (敬称略) 委員長 松本零士 漫画家、日本宇宙少年団 (YAC) 本部長 委員 的川泰宣 日本宇宙少年団副本部長 高橋真理子 科学ジャーナリスト (朝日新聞) 鶴見正樹 三菱電機株式会社宣伝部長 観山正見 国立天文台台長 奥村幸子 国立天文台准教授 注2:「十六夜」とも書く。新月となる日を各月の1日とする古い暦法で、毎月 16日の月、または16日の夜を意味する。日本では、明治5年までは月の満ち欠 けをもとに日を決める暦が使われていた。 参照: 国立天文台 ALMA推進室 http://alma.mtk.nao.ac.jp/ ALMA望遠鏡 日本のアンテナ愛称募集キャンペーン (三菱電機) http://www.mitsubishielectric.co.jp/dspace/alma2009/alma2009.html 国立天文台 アストロ・トピックス (508) ALMA (アルマ) 計画、日本のアンテナが山頂へ一番乗り http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000508.html 2010年3月19日 国立天文台・広報室