アストロ・トピックス
No.536: 西村さん、先月に続き、へびつかい座に新星を発見
静岡県掛川市の西村栄男 (にしむらひでお) さんが、2月18日 (世界時、以 下同様) の観測から、へびつかい座に9.4等の新星らしき天体を発見しまし た。この天体は、キヤノン EOS 5D デジタルカメラにミノルタ製の焦点距離 120ミ リメートルレンズ (f/3.5) を取り付けて撮影された2枚の画像 (限界等 級12.7等) の中から発見されました。この発見は、中野主一 (なかのしゅい ち) さんを通じて国際天文学連合電報中央局に報告されました。 この天体の発見日時、位置、発見等級は次の通りです。なお位置と等級は、 中野さんが西村さんの発見画像から測定した値です。 発見日時 2010年2月18.845日 = 2月18日20時17分 (世界時) 赤経 17時 26分 32.19秒 赤緯 -28度 49分 36.3秒 (2000年分点) 発見等級 9.4等 西村さんは、2009年2月から10月15日の間と、今年2月2日から13.84日の間に もこの付近を観測していますが (限界等級11等)、この位置には天体は何も 写っていませんでした。 山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、2月19.778日にこの 天体を観測し9.0等の明るさを得ています。また、埼玉県上尾市の門田健一 ( かどたけんいち) さんも、2月19.825日にこの天体を観測し、8.9等という明る さを得ています。さらに、オーストラリアの R.Kaufman さんからは、2月 19.651日と19.656日に、この天体を約9.4等で観測したとの報告が入っていま す。 九州大学の山岡均 (やまおかひとし) さんの報告によると、岡山理科大学 ( 岡山県岡山市) の今村和義 (いまむらかずよし) さんと田邉健茲 (たなべけん じ) さんは、2月19日に同大学の28センチメートル望遠鏡を用いてこの天体の 分光観測を行い、その結果、古典的新星の特徴を表していることがわかり ま した。岡山県倉敷市の藤井貢 (ふじいみつぐ) さんもまた、2月19日に28セン チメートル望遠鏡による分光観測を行っており、鉄の輝線が特徴的な新星であ ることを確認しています。 西村さんは、今年1月15日にも同じへびつかい座に新星を発見したばかりで す。西村さんの今後のさらなる活躍を期待します。 参照: CBET No. 2176 : PROBABLE NOVA IN OPHIUCHUS (2010 Feb 19) CBET No. 2179 : NOVA OPHIUCHI 2010 No. 2 (2010 Feb 20) 国立天文台 アストロ・トピックス (530) 西村さん、へびつかい座に新星を発見 http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000530.html 2010年2月24日 国立天文台・広報室