アストロ・トピックス
No.501: 板垣さん、NGC 1355 銀河に超新星を発見
山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、8月24日 (世界時、 以下同じ) の観測から、15.6等の超新星を発見しました。この超新星は、エリ ダヌス座方向にある NGC 1355 銀河の中にあり、板垣さんご自身所有の口径60 センチメートル反射望遠鏡 (f/5.7) を用いたCCD観測 (限界等級19.0等) によ り撮影された画像から発見されました。 この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報 中央局に報告され、この超新星は「2009im」と命名されました。 この天体の発見日時、位置、発見等級は次の通り。 発見日時 2009年8月24.73日 = 8月24日17時31分 (世界時) 赤経 3時 33分 22.07秒 赤緯 -4度 59分 56.4秒 (2000年分点) 発見等級 15.6等 この超新星は NGC 1355 銀河の中心から西に21秒角、南に1.6秒角離れた位 置にあります。 板垣さんは、2006年10月27日にこの場所を観測していましたが、そのときの 画像 (限界等級は19.0等) にはこの天体は写っていませんでした。またDSS ( 注) の画像にも、この天体は写っていませんでした。 中野さんは、宮城県大崎市の遊佐徹 (ゆさとおる) さんが、8月25日にオー ストラリアのMoorookにある口径25センチメートルのリッチー・クレチアン型 反射望遠鏡 (f/6) を遠隔操作し、撮影したCCD画像 (限界等級は17.7等) にこ の天体を15.1等で確認したことを付け加えて報告しています。 8月16日に新星を発見したばかりの板垣さんですが、超新星の発見は、7月10 日の2009hi以来、今年に入って7個目の発見となりました。また今回の発見を 含めた超新星の通算発見数は51個 (独立発見を含む) となり、日本人アマチュ ア天文家による超新星発見個数の最多記録をさらに更新中です。 注:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュエ ル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オースト ラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化し たもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天体 まで写っている。 参照: CBET No. 1925 : SUPERNOVA 2009im IN NGC 1355 (2009 Aug 25) 国立天文台 アストロ・トピックス (487) 板垣さん、通算50個目となる超新星を NGC 7647 銀河に発見 http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000487.html 国立天文台 アストロ・トピックス (499) 板垣さん、へびつかい座に新星を発見~高校生たちが世界で最初の分光観 測に成功~ http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000499.html 日本人が発見した超新星一覧 (国立天文台) http://www.nao.ac.jp/new-info/supernova.html 2009年8月27日 国立天文台・広報室