アストロ・トピックス
No.440: チリALMA観測所へ、最初のアンテナを引き渡し
国立天文台も参加し、日米欧が協力して建設しているALMA (アタカマ大型ミ リ波サブミリ波干渉計) は、チリ北部にある標高5000メートルのアタカマ砂漠 で建設中の電波干渉計です。完成時には、可視光では観測することができない 分子ガスやダストを詳細に調べることができるようになります。 12月上旬に、記念すべき1台目のアンテナがチリALMA観測所へ引き渡されま した。この最初のアンテナは、日本が製作したもので、国立天文台の委託によ り三菱電機株式会社が建設しました。 ALMAは口径7メートルと口径12メートルの多数のアンテナがあたかも一つの 電波望遠鏡であるかのように稼働するシステムです。日本と共同でALMA計画に 携わっている北米と欧州が製作したアンテナも、まもなく、チリALMA観測所に 引き渡される予定です。 現地からは、「日本の共同研究者たちは、最先端技術を駆使したすばらしい アンテナを造り上げた」と賞賛の声が届いています。ALMAの建設地に到着した アンテナは、様々な性能評価を行います。要求される性能とは、たとえば、ア ンテナ表面のでこぼこは人間の髪の毛の太さより小さくなければならないと か、15キロメートル先のゴルフボールをとらえることができるほど正確に、ア ンテナの向きを制御できなければならないといった厳しいものです。また、標 高5000メートルという高地での強風など過酷な気象条件に耐えて、高い性能を 維持しなければなりません。 1台目のアンテナ引き渡しが行われたことは、ALMA計画にとって、また、計 画に携わる研究者や技術者にとって、一つの大きなマイルストーンです。チリ ALMA観測所のチームは、高感度の受信機といった観測に必要な装置の取り付け やテストなどを行い、科学的な観測に向けた準備を進めています。 天文学では、新しい望遠鏡によってさまざまな天体が観測され、新たな姿が 写し出される度に、また新たな謎が生まれています。私たち天文学者は、ALMA が完成することによって、銀河の形成・進化や多くの星・惑星系形成の解明 に、さらに大きな一歩が踏み出せることを期待しています。 参照: 国立天文台 ALMAホームページ Joint ALMA Observatoryへの初アンテナ引渡し http://www.nro.nao.ac.jp/alma/J/whatsnew/081218.html 国立天文台 ALMAホームページ http://www.nro.nao.ac.jp/alma/J/index.html 2009年1月9日 国立天文台・広報室