アストロ・トピックス
No.416: 板垣さん、NGC 3147 銀河に超新星を発見
山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、9月27日 (世界時、 以下同じ) の観測から、16.5等の超新星を発見しました。この超新星は、りゅ う座方向にある NGC 3147 銀河の中にあり、板垣さんご自身が所有する口径60 センチメートルの反射望遠鏡 (f/5.7) を用いたCCD観測 (限界等級19.0等) により撮影された画像の中から発見されました。 この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報 中央局に報告され、この超新星は「2008fv」と命名されました。 この天体の発見日時、位置、発見等級は次の通り。 日時 2008年9月27.78日前後 = 9月27日18時43分前後 (世界時) 赤経 10時 16分 57.28秒 赤緯 +73度 24分 36.4秒 (2000年分点) 等級 16.5等 この超新星は NGC 3147 銀河の中心から東に16秒角、北に34秒角離れた位置 にあります。 板垣さんが、2007年2月2日と2008年9月10.80日に観測した画像 (限界等級は それぞれ19.0等、18.5等) には、この天体は写っていませんでした。また、 DSS (注) の画像上では、この位置には何も天体は写っていませんでした。 ブラジルの Jacques さんと Pimentel さんのお二人が、9月28.49日に米国 にある口径30センチメートル (f/9.1) の反射望遠鏡を使って行ったリモート によるCCD観測 (限界等級18.0等)では、この超新星の等級は15.6等と報告され ています。また板垣さんご自身も、9月28.569日には16.1等で観測していま す。 なお、板垣さんは、2006年9月にも同じ NGC 3147 銀河に超新星 2006gi を 発見しています。 板垣さんによる超新星発見は、今年に入ってからこれで6個目となりまし た。 今回の超新星発見を含め、板垣さんの超新星の発見数は通算40個 (独立発見を 含む)となり、日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の最多記録をさ らに更新中です。 注:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュ エル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オース トラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化 したもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天 体まで写っている。 参照: CBET No. 1520 : SUPERNOVA 2008fv IN NGC 3147 (2008 Sep 28) 国立天文台 アストロ・トピックス (243) 板垣さん、りゅう座に超新星を発見 http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000243.html 日本人が発見した超新星一覧 (国立天文台) http://www.nao.ac.jp/new-info/supernova.html 2008年9月29日 国立天文台・広報室