アストロ・トピックス
No.385: 西山さんと椛島さん、へびつかい座に新星らしき天体を発見
福岡県久留米市の西山浩一 (にしやまこういち) さんと佐賀県みやき町の椛 島冨士夫 (かばしまふじお) さんが、5月31日 (世界時、以下同じ) の観測か ら、へびつかい座に約11.3等の新星らしき天体を発見しました。この天体は、 5月31.608日と31.609日に、焦点距離105ミリメートル (f/5.6) カメラレンズ を用いたCCD観測 (限界等級13.6等) により撮影された2枚の画像の中から発見 されました。 この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合に報 告されました。 以下は、この天体の発見日時、位置、発見等級です。ただし、位置は、西山 さんと椛島さんが5月31.628日に口径40センチメートルの反射望遠鏡 (f/9.8) を使用して行った観測から得た値です。 発見日時 2008年5月31.608日 = 5月31日14時36分 (世界時) 赤経 17時 33分 29.67秒 赤緯 -27度 01分 16.4秒 (2000年分点) 発見等級 11.3等 西山さんと椛島さんは、先月5月11.661日、20.649日、25.688日にこの天体 の位置を観測していましたが、それぞれ13.6等、12.6等、11.8等より明るい天 体は写っていませんでした。またDSS (注) にもこの天体は写っていないと付 け加えています。 発見後、西山さんと椛島さんは、5月31.795日に11.4等でこの新星を観測し ています。また、埼玉県上尾市の門田健一 (かどたけんいち) さんは、5月 31.765日と6月1.576日の観測から11.1等と11.3等、山形県山形市の板垣公一 ( いたがきこういち) さんも、6月1.540日と1.595日の観測から11.7等の明るさ をそれぞれ得ています。 西山さんと椛島さんは、静岡県掛川市の西村栄男 (にしむらひでお) さん、 愛知県豊橋市の長谷田勝美 (はせだかつみ) さんらとともに、5月25日に同じ へびつかい座に新星を発見したばかりです。今回の発見位置は、この場所から 西方向に約1.5度、南方向に約3度ほど離れたところです。お二人は今年に入っ てからも、すでにM31銀河に5個の新星を発見するなどしており、更なる活躍が 期待されます。 注:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュ エル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・ オー ストラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル 化したもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の 天体まで写っている。 参照: IAUC No. 8950 : POSSIBLE NOVA IN OPHICHUS (2008 Jun 2) 国立天文台 アストロ・トピックス (384) 日本人4人が、へびつかい座に新星を独立発見 http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000384.html 2008年6月3日 国立天文台・広報室