アストロ・トピックス
No.369: 板垣さん、NGC 4490 銀河に超新星を発見
山形県山形市の板垣公一 (いたがきこういち) さんは、3月4日 (世界時、以 下同じ) の観測から、16.1等の超新星を発見しました。この超新星は、りょう けん座方向にある NGC 4490 銀河の中にあり、板垣さんご自身が所有する口径 60センチメートルの反射望遠鏡 (f/5.7) を用いたCCD観測により撮影された多 数の画像の中から発見されました。 この発見は、中野主一 (なかのしゅいち) さんを通じて国際天文学連合電報 中央局に報告され、板垣さんは独立発見者の一人となりました。また、この超 新星は「2008ax」と命名されました。 この天体の発見日時、位置、発見等級 (位置と等級は板垣さんが画像から測 定した値) は次の通り。 発見日時 2008年3月4.62日 = 3月4日14時53分 (世界時) 赤経 12時 30分 40.84秒 赤緯 +41度 38分 15.4秒 (2000年分点) 発見等級 16.1等 なおこの超新星は、3月3.45日と4.39日に米国グループにより撮影されてお り、このグループによる発見として先に報じられていましたが、今回の板垣 さんによる発見も独立発見として認められました。 この超新星は NGC 4490 銀河の中心から、東に53秒角、南に24秒角離れた位 置にあります。板垣さんは、最近では2007年2月27日にもこの場所を撮影して いましたが、そのときの画像 (限界等級は19.0等) にはこの天体は写っていま せんでした。また、DSS (注) にも写っていませんでした。さらに、英国の R.Arbour さんは、米国グループの発見よりもわずか約6時間前にあたる3月 3.19日に40センチメートル反射望遠鏡 (f/5) を使ってこの場所を観測してい ましたが (限界等級は18.5等)、この天体は写っていませんでした。 板垣さんによる超新星発見は、今年に入ってからこれで3個目となりまし た。また、今年に入ってから日本人が発見した超新星の数も5個となり、驚異 的な発見ペースとなっています。今回の超新星発見を含め、板垣さんの超新星 の発見数は通算37個 (独立発見を含む) となり、日本人アマチュア天文家によ る超新星発見個数の最多記録をさらに更新中です。 注:DSS (Digitized Sky Survey) は、米国にあるパロマー天文台のサミュ エル・オシン・シュミット望遠鏡と、オーストラリアにあるアングロ・オース トラリア天文台の英国シュミット望遠鏡を用いて、全天を撮影し、デジタル化 したもの。限界等級の値は天域によって変わるが、平均的には20等級前後の天 体まで写っている。 参照: CBET No. 1280 : POSSIBLE SUPERNOVA IN NGC 4490 (2008 Mar 4) CBET No. 1286 : SUPERNOVA 2008ax IN NGC 4490 (2008 Mar 6) 日本人が発見した超新星一覧 (国立天文台) http://www.nao.ac.jp/new-info/supernova.html 2008年3月7日 国立天文台・広報室