アストロ・トピックス

No.352: 国連総会、2009年を世界天文年と決議

 12月20日、フランス・パリで開催されている第62回国際連合総会において、
2009年を世界天文年とする決議が採択されました。世界各国で、天文学・宇宙
科学に関する様々なイベントが開催され、一般の方々を巻き込んだブームが起
こることが期待されています。
 2009年は、イタリアの科学者ガリレオ・ガリレイが望遠鏡を天空に向け、宇
宙への扉を開き始めた1609年から、ちょうど400年の節目となります。そこ
で、これを機会に、世界中の人々がそれぞれに夜空を見上げ、宇宙の中での地
球や人間という存在に思いを馳せつつ、自分なりの発見をしていこうと呼びか
けてはどうかというアイデアが、国際天文学連合 (IAU) の中から生まれてき
ました。IAUでは、「世界天文年2009」の委員会を立ち上げ、ユネスコ (
UNESCO、国際連合教育科学文化機関) を通じて、国連総会で決議をしてもらう
よう働きかけをしてきました。
 日本は古来から月や星を愛でてきた国であり、現在では世界をリードする天
文学・宇宙科学の先進国となっています。また、2009年には、日本付近で条件
のよい皆既日食も起こります。そこで、日本は、イタリアと共に「世界天文年
2009」の提案国のひとつとなって、他の国とも歩調を合わせながら、IAUに対
して国連総会での決議を働きかけてきました。その成果が、今回の決議という
目に見える形となったことに、世界天文年2009日本委員会 (委員長:海部宣男
(かいふのりお) 、放送大学教授) のメンバーは一様に喜びを隠せません。
 ただ、本格的な活動はこれからです。「これはスタートに過ぎません。多く
の人に、星空あるいは天文学に親しんでもらうという理念を実現するために
は、今後、国内でも様々なイベントを企画し、遂行していくことになるでしょ
う。そのためには天文学者だけでなく、プラネタリウム、科学館、公開天文
台、生涯学習施設などを含めて、多くの皆さんの協力が必要です」と、世界天
文年2009日本委員会・企画委員会の委員長である渡部潤一 (わたなべじゅんい
ち)国立天文台天文情報センター長は強調しています。
 具体的なイベントなどの詳細は、現在も着々と企画が進んでいますので、そ
れらが明らかになるのが今から楽しみですね。皆さんも、ぜひご期待下さい。

 
参照:
 世界天文年2009日本委員会ホームページ
  http://www.astronomy2009.jp/

 世界天文年2009ホームページ (英語)
  http://www.astronomy2009.org/
 
      2007年12月21日            国立天文台・広報室