アストロ・トピックス

No.312: 土星に今年4個目の新衛星

 国際天文学連合 (IAU) は、7月18日、土星に新衛星が発見されたことを国際
天文学連合回報 (IAUC) に発表しました。この衛星は土星を周回しているカッ
シーニ探査機によって発見されたもので、今年5月にすばる望遠鏡で発見され
た3個の新衛星に次ぐ、土星で今年4個目の新衛星です。
 カッシーニ探査機は2004年7月に土星に到着しました (国立天文台アスト
ロ・トピックス (22) 参照) が、その直前の2004年6月に撮影した画像から、
土星の衛星第1番 (I) ミマス (Mimas) と第2番 (II) エンケラドゥス 
(Enceladus) の軌道の間を回る2つの衛星 S/2004 S 1 と S/2004 S 2 を発見
しました (これらの2つの衛星は後に第32番 (XXXII) メトネ (Methone) と第
33番 (XXXIII) パレネ (Pallene) の番号と名前が付きました)。今回新たに発
見された衛星は、これら2つの衛星の軌道の間を回っているもので、
S/2007 S 4の仮符号が付けられました。
 この新衛星は、2007年5月30日に約6時間にわたって撮影された一連の画像か
ら初めて発見されました。それに基づいて求められた暫定的な軌道を用いて、
カッシーニ探査機が過去に撮影した画像を調査したところ、この衛星は2004年
6月以降、現在までのほぼ3年間にわたって撮影された多数の画像に検出されま
した。その結果、この衛星の軌道は長半径が197,700km、離心率が0.001、土星
赤道に対する軌道傾斜角が0.1度、公転周期が1.03650日と求められました。こ
の軌道は Mimas と10:11の平均運動共鳴の関係にあります。この衛星の大きさ
は、その明るさから、半径が約1kmと見積られています。
 今回の発見により土星の衛星の数は、確実なものとして60個、不確かなもの
まで含めると63個となりました。不確かなものまで含めた総数は、太陽系の惑
星で最も多い衛星を持つ木星に並ぶことになりました。
 
参照:
 IAUC No. 8857 : S/2007 S 4 (2007 Jul 18)

 惑星の衛星数・衛星一覧 (国立天文台)
  http://www.nao.ac.jp/new-info/satellite.html

 国立天文台 アストロ・トピックス (22)
  カッシーニ探査機、いよいよ土星へ到着
  http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000022.html

 国立天文台 アストロ・トピックス (298)
  すばる望遠鏡が土星に3個の新衛星を発見
  http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000298.html

2007年7月19日            国立天文台・広報室