アストロ・トピックス

No.247: 板垣さん、やまねこ座の銀河に超新星らしき天体を発見

 山形県山形市の板垣公一(いたがきこういち)さんが、10月9日(世界時)の観
測から、13.8等の超新星らしき天体を発見しました。
 この天体は、やまねこ座の銀河UGC 4904の中にあり、口径60センチメートル
の反射式望遠鏡(f/5.7)を使ってCCDで撮影された多くの画像の中から発見され
ました。
 この発見は、兵庫県の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学連
合電報中央局に報告されました。その後、T.パケット(T.Puckett)さんとR.ゴ
レリ(R.Gorelli)さんも、板垣さんの発見とは独立して、10月10日に撮影した
画像からこの天体を発見しました。

 以下は、板垣さんによって発見された天体の観測値です。

    天体が発見された日時・等級・位置
    発見日:2006年10月9.752日=10月9日18時03分 (世界時)前後 13.8等
    赤 経:9時17分20.78秒
    赤 緯:+41度54分32.7秒 (2000年分点)

 天体は、UGC 4904銀河の中心から、西に11秒角、南に7秒角離れた位置にあ
ります。

 板垣さんは、2004年にも、今回発見した天体にきわめて近い位置に、超新星
らしき19.0等の天体を捉えたことがあります。当時、DSS(Digitized Sky Surv
ey)が青色で撮影した画像を調べたところ、1953年、1990年、1995年に撮影さ
れた画像にも、その天体に近い位置に恒星状の天体が写っていることがわかり
ました。このため、同じ天体が変光している可能性も考えられましたが、追加
観測の報告がないまま、天体は暗くなってしまいました。
 今回の天体が2004年の天体と同じものなのかどうか、また、超新星なのかど
うかは、今のところはっきりわかっていません。今後の詳しい観測が待たれま
す。

 この天体が超新星だとすれば、板垣さんご自身による超新星の発見は今年だ
けですでに8個目(独立発見を含む)となり、通算での超新星発見数は合計24個
となります。日本人アマチュア天文家による超新星発見個数の最多記録をさら
に更新中です。


参照:
   国立天文台 アストロ・トピックス (244)
     板垣さん、おおぐま座に超新星を発見 (2006年9月25日)

   国立天文台 アストロ・トピックス (245)
     板垣さん、さんかく座に新星を発見 (2006年10月4日)

   CBET No.666 : POSSIBLE SUPERNOVA IN UGC 4904 (2006 Oct 11)

       2006年10月11日           国立天文台・広報室