アストロ・トピックス

No.238: 板垣さん、さらに新星と超新星を発見

 8月30日に超新星を発見したばかりの山形県の板垣公一(いたがきこういち)
さんが、9月3日(世界時)にも、約16等星の新星と約16等星の超新星を立て
続けに発見しました。
 新星はアンドロメダ座の銀河 M31(=NGC224)の中、超新星はくじら座の銀河 
NGC 232の中にあり、ともに口径60センチメートルの反射式望遠鏡(f/5.7)に
CCDを据付けて撮影した画像から発見されました。
 これらの発見は兵庫県の中野主一(なかのしゅいち)さんを通じて国際天文学
連合電報中央局に報告され、超新星については「2006et」と命名されました。
以下、板垣さんによって発見された新星と超新星についての観測値です。

○ 新星の等級と位置
  発見日:2006年9月3日 (世界時) 約16等星
  赤 経:00時42分33.16秒
  赤 緯:+41度10分06.8 秒 (2000年分点)

 板垣さんは、この天体が明るくなる以前からの観測を報告しています。9月
9月1.588日(世界時、以下同様)には20等より明るい天体はありませんでした
が、9月3.5161日16.5等、9月3.5202日16.4等、9月3.5384日16.3等、9月
3.5505日16.2等、9月3.5631日16.1等、9月3.5768日16.0等となっており、
なお増光中の模様です。

 なお、M31(=NGC224)銀河はアンドロメダ銀河として有名です。私たちの銀河
から遠くない距離にあるため、秋冬期の夜には、双眼鏡でも観望することが
可能な銀河の一つです。

○ 超新星「2006et」が発見された日時と等級と位置
  発見日:2006年9月3.77日=9月3日18時29分 (世界時) 16.1等星
  赤 経:00時42分45.82秒
  赤 緯:-23度33分30.4秒 (2000年分点)

 この天体はNGC232の中心核位置から、東に約0.3秒角、北に約11.0秒角ほど
離れたところにあります。板垣さんは8月30日にもこの天体を観測しており、そ
のときの明るさは17等でした。また、8月24日もこの位置を観測していますが、
その画像にはこの天体は写っていませんでした。

 今回の発見は、ご自身の8月30日の超新星発見(国立天文台 アストロ・トピッ
クス (236))に続くものです。これで新星を除く板垣さんの超新星発見数(独立
発見を含む)は通算21個となり、日本人アマチュア天文家による超新星発見個
数の最多記録をさらに伸ばしました。

参照:
   国立天文台 アストロ・トピックス (236)
     板垣さんら、アンドロメダ座に超新星を発見 (2006年9月4日)
       
   CBET No.615 : NOVA IN M31  (2006 Sept 3)
   CBET No.616 : SUPERNOVA 2006et IN NGC 232  (2006 Sept 4)


       2006年9月5日            国立天文台・広報室