アストロ・トピックス
No.220: “すばる望遠鏡”が土星に新衛星9個を発見
国際天文学連合回報(IAUC),No 8727 によると、ハワイ大学のデービッド・ ジューイット(David Jewitt)らの研究チームは、マウナケア山頂にある“すば る望遠鏡”を用いて、土星に新しい衛星9個を発見しました。 彼らの研究チームは、昨年5月にも、すばる望遠鏡、ケック望遠鏡、ジェミニ 北望遠鏡などの望遠鏡群を用いて、土星に新しい衛星12個を発見していますが、 今回の発見はそれにつぐ快挙です。 今回確認された衛星は、S/2004 S19の1個とS/2006 S1-S/2006 S8までの8個の 計9個です。スミソニアン研究所のブライアン・マースデン(B.G.Marsden)は、 2004年12月~2006年4月までの観測から得られたデータの位置測定や解析を行い ました。その結果、今回発見された新衛星は、土星の自転と反対向きに周期862日 ~1300日で軌道上を運行している逆行衛星であることが判明しました。 最近の新衛星発見ラッシュには目を見張るものがあります。それはこれまで 発見されなかった小さく暗い衛星を発見するためには、大きな集光力と高分解 能を有する“すばる望遠鏡”のような大型望遠鏡が大きく寄与しています。 土星は太陽系第6惑星で、木星についで2番目に大きく、美しいリングを持っ ていることで知られています。しかし、平均密度は意外に小さく、水に入れる ことができれば浮んでしまうほどです。 今回の新衛星発見により、土星の衛星の総数は56個、不確かなものも含めれば 59個となり ます。このうち衛星に名前がついているのは34個あります。衛星数 では木星の衛星63個についで引き続き惑星2番目の衛星数を保持しています。 参照: 国立 天文台 ハワイ観測所 (すばる望遠鏡); 土星の新衛星、12個を発見 http://subarutelescope.org/Pressrelease/j_index_2005.html#050509 国立天文台アストロ・トピックス (104) : すばる望遠鏡、土星の新衛星 12 個発見 http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000104.html IAUC No 8727 : Satellites of Saturn (June 30 2006) Minor Planet Electronic Circular MPEC 2006-M44,: S/2004, S19 Minor Planet Electronic Circular MPEC 2006-M45,:Eight New Satellites of Saturn Minor Planet Electronic Circular MPEC 2006-M48,:S/2006 S2, S5, S8 NASAのホームページ:Solar System Exploration http://solarsystem.nasa.gov/planets/ 2006年7月7日 国立天文台・広報室