アストロ・トピックス

No.218: 冥王星の二つの新衛星に新しい名前

 アメリカ航空宇宙局(NASA)が打ち上げたハッブル宇宙望遠鏡によって、昨年
5月に発見された、冥王星の新衛星候補天体2つに名称がつけられました。

 これまで2つの新衛星候補天体には、外側を周る方にS/2005 P1、内側を周る
方にS/2005 P2と仮符号がつけられていました。これら2つの新衛星候補天体が、
実際に冥王星の周りを回っているかを同定するため、ハッブル宇宙望遠鏡をふ
たたび冥王星にむけて観測が続けられていましたが、アメリカのサウスウエス
ト研究所、ジョーンズ・ホプキンス大学などの研究者チームを中心とする発表
によると、このたび国際天文学連合(IAU)の承認を得て、正式に新衛星と認めら
れ、S/2005 P1は「Hydra」、S/2005 P2は「Nix」と命名されました。

 両衛星の明るさは、冥王星本体の明るさの5千分の一程度です。また距離も
1978年に発見された衛星、カロン(Charon)と本体との距離の2-3倍の位置にあ
ります。神話によれば、Nixは“夜の女神”、Hydraは“九つの頭をもつ大蛇”、
を意味し、どちらも神話に登場する冥界に関係しています。

 因みに、太陽系の果てにある第9惑星の冥王星は、アメリカの天文学者トン
ボーによって発見されたのが1930年で、まだ発見後76年しか経過していません。
冥王星の公転周期が約250年ですから、太陽の周りの軌道上を全長の3割動いた
だけです。冥王星は質量が小さいことなどから、その振る舞いや運動に、天文
学的に大きな関心が寄せられている天体です。

 冥王星の衛星は、1978年にカロンが発見されて以来、合計3個となり、すべて
の衛星に名前がついたことになります。


参照:IAUC 8723 (June. 21 2006)
   国立天文台アストロ・トピックス(162)
       http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000162.html
   NASA
       http://solarsystem.nasa.gov/news/display.cfm?News_ID=15456


        2006年6月30日            国立天文台・広報室