アストロ・トピックス
No.200: 関東地方を中心に非常に明るい火球が出現
3月29日の午後8時24分頃、関東一円、東北、甲信越、東海地方など広い地域 において「非常に明るい光跡が夜空を横切るのを目撃した」という報告や問い 合わせが多くの市民から国立天文台に寄せられました。また、同夜、テレビな どでも、ニュースとして報道されました。目撃情報の内容は、明るさや色につ いては報告者ごとに若干異なりますが、見えた時刻や移動方向が、ほぼ同じで あることから同一現象を指しているものと思われます。 さて、届いた報告情報をまとめると、同日同時刻ころ、「関東地方ではほぼ 頭上から東南方向に向け、明るい発光体が通常の流星の明るさよりも遥かに明 るく、尾を引きながら移動してゆくのを見た。明るさは金星の最大時の光度 (マイナス4等星)のときよりも明るく、発光体の頭部は白色をしていて尾の部分 は黄と赤色が混ざったような配色だった。10秒間近く見えていた」というもの でした。 国立天文台では寄せられた情報を総合的に判断の結果、この日の現象は明る い「火球」であったと強く推測しています。厳密な定義はありませんが、「火 球」とは、流星の中でも特に明るいもの(金星と同じ程度かそれ以上に明るい もの)を指します。一方、隕石とは、地球の外からやってきた物質が大気中と の摩擦によって蒸発しきらずに、地上に落下したものを言います。今回の火球 が地上に落下したという情報はありません。 因みに、このような明るい火球が目撃されたのは今年初めてですが、最近で は、2004年7月に高知県付近に、2005年5月にはそれぞれ別々に紀伊半島南方太 平洋上と山梨県上空などに、火球が出現したのが目撃されています。毎年数個 程度の火球が出現しているようです。 2006年4月4日 国立天文台・広報室