自然科学研究機構 国立天文台

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No.192: 恒星の二重円盤を世界初発見 ~ 西はりま天文台 なゆた望遠鏡がプレオネに ~

 「プレオネ研究グループ」は、兵庫県立西はりま天文台のなゆた望遠鏡(国内
最大の口径2メートル)を使ってプレオネという恒星のスペクトルを観測した結
果、この星の周囲に2本のガス円盤が交差していることを発見しました。恒星に
二重の円盤が確認されたのは、初めてのことです。

 星のスペクトルを詳しく分析することで、星についての様々な情報を得るこ
とができます。なゆた望遠鏡のナスミス焦点部には星の光をスペクトルにする
可視光分光器という装置が取りつけられています。2005年の秋からなゆた望遠
鏡でのスペクトル観測がスタートし、プレオネのスペクトルが観測されました。
 プレオネはプレアデス散開星団(すばる)の中で7番目に明るい星で、明るさ
は5等級です。スペクトル型の分類ではB型に属し、表面温度は約1万2千度です。
地球からの距離は約400光年で、年齢は1億歳程度。半径は太陽のおよそ4倍です。

 2005年12月になゆた望遠鏡で得られたプレオネのスペクトルを解析すると、
カルシウムの波長の光が強く吸収されていることがわかりました。過去の観測
からこれは新しく高温のガス円盤が形成されたことを示しています。2006年1月
に美星天文台で行われた観測でも吸収が確認され、新しい円盤の形成が確定し
ました。2004年12月の美星天文台でのスペクトル観測では、円盤が誕生した兆
候はありませんでしたので、新しい円盤は2005年春~秋頃に形成が始まったと
推定されます。

 1973年にカナダの研究グループがプレオネの円盤をすでに発見していました
が、その古い円盤も新しい円盤を囲むような形状で、今でも存在していること
も判明しました。これはプレオネの鉄の吸収線の形状を調べることによって明
らかになりました。B型星の約20パーセントは高温ガス円盤を持ち、そのような
星は特にB型輝線星と呼ばれていますが、二重の円盤が発見されたのは今回が初
めてです。さらに驚くべきことには、新しい円盤と古い円盤は60度の角度で交
差していることもわかりました。古い円盤は幅がプレオネ本体の2~7倍で温度
が8千~1万度、新しい円盤の幅は星の2倍で、温度は7千~8千度と考えられてい
ます。

 プレオネになぜ円盤が形成されるのか、詳しくはわかっていません。プレオ
ネは高速自転しており、赤道方向につぶれた形状になっていますので、赤道部
からはガスが飛び出しやすくなっています。プレオネの表面がもし振動してい
ると、それにともなった波が高くなることが考えられ、この場合はさらにガス
が噴出しやすくなります。また、プレオネは連星系なのですが、伴星がすぐ近
くまで接近しプレオネ本体からガスを引きちぎったとする説もあります。
 なゆた望遠鏡は、この謎を解明すべくプレオネの継続観測を行っています。


 プレオネ研究グループ
  片平順一(堺市教育センター)、鳴沢真也・尾崎忍夫(兵庫県立西はりま天文台)、
  井上和俊(大阪府立箕面高校)、川端善仁(美星天文台)、
  田中賢一・定金晃三(大阪教育大学)、平田龍幸(京都大学)

※この原稿は兵庫県立西はりま天文台の鳴沢真也(なるさわしんや)さんからい
 ただいたものです。

参照:Pleione (28 Tau) is now forming a new disk! 
    http://www.astro.virginia.edu/~dam3ma/benews/volume38/whap/kat0.html
   兵庫県立西はりま天文台 http://www.nhao.go.jp/
    世界初! 恒星に2重の円盤を発見!! ~プレオネに新しい円盤を検出~
               http://www.nhao.go.jp/pleione.html
   美星天文台       http://www.bao.go.jp/

        2006年2月24日            国立天文台・広報室

国立天文台 メールニュース

国立天文台 アストロ・トピックスは、2010年6月まで発行していたメールニュースです。2010年7月からは、「国立天文台 メールニュース」として装いも新たにし、注目いただきたいトピックスの主要な内容とその詳細情報の参照先をお届けしています。

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