アストロ・トピックス
No.187: すばる望遠鏡、塵に埋もれた超巨大ブラックホールを多数確認
国立天文台を中心とする研究チームは、すばる望遠鏡を用いて、赤外線で明 るく輝く銀河の多くに、塵に埋もれた活動的な超巨大ブラックホールが存在す ることを確認しました。 太陽の100万倍以上の質量を持つ超巨大ブラックホールが激しく物質を飲み込 むと強いエネルギーを放射しますが、その多くはガスや塵に埋もれて見つける ことが非常に困難です。これまで、こういったブラックホールは、特に赤外線 で明るく輝く銀河の中心に存在すると予想されていたのですが、これまでほと んど見つかって来ませんでした。というのも、こういった銀河では、まわりの 塵やガスが濃いために、ブラックホールが隠されてしまい、"埋もれた"状態に なっているからと考えられます。 このように埋もれた活動的な超巨大ブラックホールからの放射を見つけ出す には、塵による吸収をあまり受けない、波長が3マイクロメートルより長い赤外 線による観測が非常に有効です。すばる望遠鏡のあるマウナケア山頂は標高が 4200メートルと高いため、波長3~4マイクロメートルの赤外線はほとんど吸収 されませんから、この波長での観測に適しています。 ただ、一般にこの波長を用いても、ブラックホールからの放射なのか、激し い勢いで生まれつつある多数の星からの放射なのかは、区別がつきにくいもの です。国立天文台の今西昌俊(いまにしまさとし)主任研究員らは、両者を区別 して、塵に埋もれた活動的超巨大ブラックホールを検出する独自の手法を確立 しました。すばる望遠鏡の近赤外線撮像分光装置IRCSを用いて、距離にして約 20億光年より近くにある数多くの銀河を観測し、この手法を適用した結果、そ の多くで他では見つからなかった活動的な超巨大ブラックホールの兆候を見い 出したのです。 今回の観測結果は、銀河の中心にもともと存在する超巨大ブラックホールが、 銀河の合体等によってさらに成長していることや、成長によって、より大量の 物質を飲み込みながら激しいエネルギー放射をしているという理論的予想を裏 付けるものとして注目されるものです。 この研究成果は、米国天文学会誌 "Astrophysical Journal" に掲載されてい ます。 参照:すばる望遠鏡 塵に埋もれた超巨大ブラックホールたち http://subarutelescope.org/Pressrelease/2006/02/15/j_index.html Imanishi et al. 2006, Astrophyiscal Journal, 637, 114 (20 Jan. 2006) 2006年2月16日 国立天文台・広報室