アストロ・トピックス

No.170: 初春のしぶんぎ座流星群を眺めよう

 毎年1月4日頃に、「しぶんぎ(四分儀)座流星群(別名:りゅう座ι(イオタ)流
星群」が活発に活動します。来年のしぶんぎ座流星群の観察は8年ぶりの絶好の
条件となりますので、多くの流星が眺められると期待されています。

 流星群は、彗星から放出された小さな麈(ちり)粒の集団が、地球に飛び込ん
で起こる現象です。この塵粒の集団は、彗星の軌道上に密集していますが、こ
の軌道と地球軌道が交差しているところで、流星群が発生します。地球が交差
する日時は、ほぼ毎年決まっていますので、特定の時期に流星群が出現するこ
とになります。このとき、地球に飛び込む塵粒はある決まった方向からやって
きます。それぞれの塵粒はほぼ平行なので、地上から見ると、それらの流星群
に属する流星は、天空のある一点から放射状に飛び散るように見えます。この
点を放射点と呼びます。しぶんぎ座流星群は、その放射点がりゅう座にありま
すが、その場所は、かつて「へきめんしぶんぎ(壁面四分儀)座」という古い星
座がありました。そのころの名残で、今でも、「しぶんぎ座流星群」と呼ばれ
ています。

 しぶんぎ座流星群の放射点は、深夜に北東の地平線から上ってきます。です
から、流星が出現するのも、深夜過ぎの午前1時頃から明け方までになります。
そのため、一般にはなかなか馴染みのない流星群ですが、今年は8年ぶりの絶好
の条件です。
 この流星群は、極大時刻の前後、数時間程度に集中して多数の流星が出現し
る特徴があります。今回はその極大時刻が、1月4日午前2時~3時なので、日本
での観察に適した時刻にあたっています。さらに、この時間帯には月明かりの
邪魔がありません。このような条件が揃うのは8年ぶり、1998年以来となります。
ちなみに次回に同様の条件となるのは、2014年となります。小・中学校等の冬
休み期間中に活動するため、観察適時が夜半後になるデメリットはありますが、
かなり明るい流星も見られますので、いままで流星を眺めたことのない人でも、
簡単にその姿を見つけられるでしょう。双眼鏡や望遠鏡といった特別な装置も
不要です。

 流星は放射点から流れ出るように見えますが、夜空のどこにでも現れますの
で、特に放射点を見ている必要はありません。好きな方角を眺めて、流星が流
れるのを楽しみに待っていて下さい。しぶんぎ座流星群は、たくさんの流星が
眺められる三大流星群(ふたご座流星群・ペルセウス座流星群・しぶんぎ座流星
群)のひとつで、光害のない夜空で晴天に恵まれれば一時間に50個を越える流星
が眺められるでしょう。

 国立天文台では、できるだけ多くの人に流れ星を眺めてもらおうと、流星数
が最も多くなると思われる3日の深夜から4日明け方にかけて『初春の流星群を
眺めよう』というキャンペーンを行います。
 観測適時に15分以上、夜空を観察してもらい、その間に何個の流れ星を見る
ことができたかを国立天文台のインターネット上のキャンペーンサイトに報告
してもらおうというものです。
 日本全国のどのあたりでどのくらいの流星が見えたか、集計からわかる仕組
みです。携帯電話からも参加可能ですから、これまで流星を眺めたことのない
多くの人にも、ぜひ参加していただければと思います。

参照:国立天文台 (パソコンから) http://www.nao.ac.jp/
   国立天文台 (携帯電話から) http://www.nao.ac.jp/i/

       2005年12月15日            国立天文台・広報室