アストロ・トピックス
No.169: 国立天文台のALMA(アルマ)計画の近況とこれからの講演会
国立天文台が進めているALMA計画の近況報告と、これから行われる一般向け 講演会等についての案内をお送りします。最新情報についてはALMAのホームペー ジ http://www.nro.nao.ac.jp/alma/ をご覧下さい。 ---------------------------------------------------------------------- 【近況報告】 すでにALMAニュース2005年夏号で予告しましたが、熊本大学の佐藤毅彦(さと うたけひこ)氏を中心とするグループが開発した星座カメラ「i-CAN」の一つが ALMAの山麓施設(標高約2900メートル)に設置され、このたび調整を終えて本格 運用の運びとなりましたのでお知らせします。 星座カメラ「i-CAN」はいわゆる「望遠鏡」というよりは「(インターネット 経由で上下左右に遠隔操作できる)高感度ウェブカメラ」です。対角線方向に70 度の画角を持ち、肉眼で星座を観察するのに近い感覚を実現しています。多く の星座は一つ以上をまるごとすっぽり収めることができ、星座どうしの位置関 係などもよく分かります。これを学校の授業などに取り入れれば、日本とALMA 山麓施設(西経68度)との経度の違い(東経135度の明石との経度差203度は約13時 間半の遅れに相当)を利用して昼間の授業中の星座観察が可能となります。また、 日本では光害や天候不順のために普段目にする機会が乏しい美しい星空や、日 本で見ることのできない南天の天体を自由に見せることもできます。南回帰線 のほぼ真下の南緯約23度にあるALMAの山麓施設では、南十字星や大小マゼラン 雲など日本ではなじみの薄い南天の天体を見ることができますし、天の川(銀河 系)の中心も、頭の上までのぼってきます。現在チリは夏ですが、オリオン座な ど日本では冬の星座とされている星座が見えます(オリオン座など全て上下が逆 さまに見えますが)。また、年間降水量はわずか数十ミリメートルしかないため、 曇って星が見えないということもめったにありません。現地の9日未明(日本の 同日午後)に行われたファーストライトでも、逆さまのオリオン座や南十字星が よく見えていました。 科学研究費補助金により開発された四つ子の星座カメラは、すでに運用を始 めていた長女のヤーキス天文台(アメリカ・ウィスコンシン州)と今回運用を開 始した次女のALMA山麓施設に加え、今年度中に南阿蘇ルナ天文台(熊本県)とロー ズマリー天文台(アメリカ・フロリダ州)にも相次いで嫁入り予定です。さまざ まな助成金に支えられ開発・運用していますので、利用は無料です。i-CANの操 作は、誰も使っていなければ(世界中の誰でも!)ゲストとしてすぐに始めること ができます。しかも映像の閲覧自体はいつでも誰でも可能です。学校の教室や 課外活動など教育現場での利用(それを主に期待して作られました)の場合は、 事前予約を入れることで確実に利用時間を確保することができます。英語のホー ムページも整備される予定で、外国の人たちが現地の日中に熊本の星空を観察 することも想定しています。ALMAのホームページからもリンクしますので、ど うぞALMA建設場所の夜空をお楽しみください。 ---------------------------------------------------------------------- 【一般向け講演会・施設公開・展示等】 ◎天文学普及講演会 「アンデスの巨大電波望遠鏡ALMAでさぐる銀河と惑星系の誕生」 日時:2005年12月17日(土) 14:00~16:00 場所:国立科学博物館 新館3F講義室 ◎第54回SISTサロン「電波で探る未知の宇宙 ~ ALMAプロジェクトの紹介 ~」 日時:2006年 1月27日(金) 18:00~20:15 場所:静岡理工科大学 管理棟2階208号室 ◎科学ライブショー・ユニバース「南米からの星だより: ALMA計画」 日時:2006年 2月 4日(土) 14:30~15:10、15:30~16:10 場所:科学技術館 備考:ヤーキス天文台の星座カメラの設置に中心的な役割を果たした木村か おる氏が案内役を務め、ALMA推進室のスタッフとの掛け合いや、ALMA 山麓施設とヤーキス天文台の2つの星座カメラを使ったプログラムなど を予定しています。 ◎第8回ALMA公開講演会「(テーマ未定)」 日時:2006年 場所:福岡エリア: 詳細未定 ---------------------------------------------------------------------- ※最新情報についてはALMAのホームページ http://www.nro.nao.ac.jp/alma/ をご覧下さい。 ※従来使われてきた URL=http://www.nro.nao.ac.jp/~lmsa/ は http://www.nro.nao.ac.jp/alma/J/ にこれから順次移行しますので、ブック マークの変更をお願いします。 参照:[alma-supporter-051212 27] ALMA ニュースリリース (号外) http://www.nro.nao.ac.jp/alma/J/newsletter-j/news_20051211.txt ALMA推進室 http://www.nro.nao.ac.jp/alma/ 2005年12月13日 国立天文台・広報普及室