アストロ・トピックス

No.104: すばる望遠鏡、土星の新衛星を12個発見

 ハワイ大学のデービッド・ジューイット(David Jewitt)らの研究チームは、
マウナケア山頂のすばる望遠鏡をはじめとする望遠鏡群を用いて、土星の新し
い衛星を12個発見しました。

 すばる望遠鏡の主焦点カメラ(Suprime-Cam、Subaru Prime Focus Camera)は、
一度に月の直径ほどの広視野を撮影できる視野の広いカメラで、新しい天体を
捜索するのに威力を発揮してきました。ジューイットらは、2004年12月12日に、
このカメラを用いて、土星の周辺にある新しい衛星の捜索を行い、その候補を
発見しました。さらに、2005年の1月から3月まで、おなじくマウナケア山頂に
あるケック望遠鏡やジェミニ北望遠鏡を用いて、追跡観測を行い、それらのう
ち12個が土星の周りを回っている衛星であることを確かめました。

 今回発見された衛星は、大きさがわずか3~7キロメートルと非常に小さく、
11個は土星の自転と反対向きに回っている逆行衛星でした。土星の外側には、
同様の逆行衛星が数多く発見されていますが、この発見によって、これら逆行
衛星の起源に関する理解が一層深まると期待されています。この発見によって、
国際天文学連合から発表されている土星の衛星の数は、不確かなものまで含め
ると49個となり、この直後に報じられたカッシーニ探査機による発見を含める
と50個となりました。

参照:国立天文台 ハワイ観測所 (すばる望遠鏡); 土星の新衛星、12個を発見
      http://subarutelescope.org/Pressrelease/j_index_2005.html#050509
   TWELVE NEW MOONS FOR SATURN - 2005 May 03 
    (David Jewitt; UNIVERSITY OF HAWAII, INSTITUTE FOR ASTRONOMY)
      http://www.ifa.hawaii.edu/%7Ejewitt/saturn2005.html
   MPEC 2005-J13 : TWELVE NEW SATELLITES OF SATURN
      http://cfa-www.harvard.edu/mpec/K05/K05J13.html

      2005年5月19日            国立天文台・広報普及室