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No.092: すばる望遠鏡、超巨大ブラックホールの隠された活動性 ~可視光フレアの発見 ~

 京都大学 大学院 理学研究科の戸谷友則(とたにとものり)助教授らのグルー
プは、すばる望遠鏡を用いた時間変動する天体の大規模探索により、約40億光
年の距離にある一見ごく普通の銀河の中心部分から、わずか数日間に大きく増
光 (フレア)する現象を発見しました。
 この放射は、太陽質量の約1億倍という超巨大ブラックホールの周囲約10億キ
ロメートルを光速に近い速度で回転するガス円盤から出ていると考えられます。
これは私たちの銀河系中心に存在するといわれる太陽質量の約300万倍のブラッ
クホールよりもはるかに大きく、そのようなブラックホールから可視光域の激
しい活動現象が発見されたのは初めてのことです。
 どの銀河にも中心核に超巨大ブラックホールが普遍的に存在するという、現
在主流となりつつある考えをさらに裏付ける結果といえます。

 銀河の一部には、中心核に明るい点源状のものが見られ、活動銀河中心核と
呼ばれます。このような銀河の中心には太陽100万個以上分の質量の超巨大ブラッ
クホールが存在すると言われ、そこへ周囲からガスが落ち込む際に重力エネル
ギーが解放されることで明るく輝いたり、ジェットと呼ばれる噴水状のガス噴
射が起きたりします。また、一般的に時間変動があり、中心核の明るさが変化
します。
 クエーサーは活動銀河中心核の一種で、母銀河に比べて中心核がはるかに明
るく、ほとんど母銀河が見えないようなものを言います。活動銀河中心核は、
その中心核が母銀河と同程度か、あるいはずっと明るいものが一般的で、よく
調べられてきました。しかし、一見普通の銀河の中心にも同様に超巨大ブラッ
クホールが隠されていて、現在は活動していないだけだと言われています。我
々の銀河系の中心にも、太陽の約300万個分の質量の超巨大ブラックホールがあ
ることがわかっています。

 戸谷助教授らのグループは、ヘルクレス座の満月程度の領域を「すばる」で
観測し、2003年5月5日の最初の基準観測、同年6月1日から4晩連続で、本観測を
行い、本観測のデータから基準観測データを引くことで、6つの明るさが変化し
た変動天体(活動銀河中心核)を見つけました。
 これらの銀河の距離はおよそ40億光年。我々の銀河系よりさらに大きな楕円
銀河で、その中心には、太陽質量の約1億倍という超巨大ブラックホールが存在
すると言われています。そのブラックホールにガスが回転しながら落ち込む時、
重力エネルギーが光に転化します。ブラックホールの大きさはおよそ3億キロメー
トル。その付近では、回転速度は光速の約半分にも達し、その回転周期がちょ
うど半日ぐらいで、天体2の変動の時間スケールとほぼ一致します。我々は他に
も様々な可能性を検討をした結果、この解釈が最も自然に今回の観測結果を説
明できることを見出しました。

 今回の発見でまずユニークなのは、一見普通に見える銀河の中心核の微弱な
変動をすばるの高感度観測によって初めて捉えたことです。さらに、その変動
はこれまでに研究されてきたクエーサーなどの中心核の明るい活動銀河中心核
の時間変動に比べてずっと速いようです。このような一見普通の銀河の中心の
激しい活動現象は、これまででは唯一、我々の銀河中心でX線や赤外線で発見さ
れていますが、今回の発見は遠方の銀河のずっと大きなブラックホールからの
変動であり、なおかつ可視光での現象です。
 これらの結果は、一見普通に見える銀河には実は激しい活動性が隠されてい
たこと、そしてそうした普通の銀河にも超巨大ブラックホールが普遍的に存在
していることを示唆します。

 今回の成果は、アメリカ天文学会の学術誌、The Astrophysical Journal 
Letters に掲載されています。また、2005年2月17日付けの Nature 誌の 
Research Highlihgts の中で紹介されています。

参照:超巨大ブラックホールの隠された活動性 ~ 可視光フレアの発見 ~ 
    http://www.kusastro.kyoto-u.ac.jp/%7Etotani/outgoing/BH-pub/

      2005年4月7日            国立天文台・広報普及室

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