自然科学研究機構 国立天文台

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No.074: 火星探査車、隕鉄を発見

 土星探査機カッシーニから切り離されて衛星タイタンへの着陸に成功した小
型探査機ホイヘンスが話題を集めている中、やや影がうすくなっていた火星探
査ですが、まだまだ運用が延長され、いろいろな調査が行われています。その
ひとつとして、火星探査車オポチュニティが探査の途中で隕鉄を発見し、その
画像を公開しました。

 隕鉄とは、ほとんどが鉄やニッケルといった金属でできた隕石の一種で、主
に小惑星に起源があると言われています。地球に落下する隕石のほとんどは小
惑星起源といわれています。小惑星の中でも、過去に大きな惑星になりかけて、
再び破壊されたものもあります。大きくなると内部が溶融し、中心部に重い金
属である鉄やニッケルがたまり、外層部に軽い岩石質の物質が浮いていきます。
これを分化と呼びます。分化できるほど大きな惑星になりかけてから破壊され
ると、かつて中心部にあった部分からは、鉄やニッケルの金属が主成分の破片
が生じるわけです。これが地球に落下したものが隕鉄となります。

 今回、火星で発見されたバスケットボール程度の大きさの隕石は、そのオポ
チュニティの成分分析から、地球の隕鉄とほとんど同じで、鉄とニッケルから
できている隕鉄であることがわかったのです。隕鉄が表面に存在したことから、
実はもっと数が多いはずの隕石があってもいいのではないか、という疑問も生
じてきました。隕石の場合は、すぐには火星外起源のものであるとは断定でき
ませんから、これまで調査してきた岩石にもあったのかもしれません。そして
また、火星地形の歴史にも情報をもたらす可能性があります。この地域がはた
して現在も埋もれつつあるところなのか、あるいは嵐などで次第に表層がはが
れつつあるのかが、この隕鉄を調べることでわかるかもしれません。その意味
で、この隕鉄の発見は重要といえるでしょう。いずれにしろ、地球以外の惑星
で、その惑星以外の起源を持つ隕石が発見されたのは初めてのこととなります。

参照:NASA News Release No. 2005-018(19 Jan. 2005)
        http://www.jpl.nasa.gov/news/news.cfm?release=2005-018
   Mars Exploration Rover Mission
        http://marsrovers.jpl.nasa.gov/home/index.html

      2005年1月20日            国立天文台・広報普及室

国立天文台 メールニュース

国立天文台 アストロ・トピックスは、2010年6月まで発行していたメールニュースです。2010年7月からは、「国立天文台 メールニュース」として装いも新たにし、注目いただきたいトピックスの主要な内容とその詳細情報の参照先をお届けしています。

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