アストロ・トピックス
No.070: 明るくなってきたマックホルツ彗星
2005年のお正月明けの夜空には、宇宙からのお年玉が輝きそうです。 2004年夏に発見されたマックホルツ彗星(C/2004 Q2 (Machholz))が地球に近 づき、明るくなってきているからです。 この彗星は、アメリカ・カリフォルニア州に住むアマチュア天文家・マック ホルツさんが、2004年8月27日に、口径15センチメートルの反射望遠鏡でエリダ ヌス座に発見したものです。発見されたときには11等級とたいへん暗かったの ですが、その後、太陽に近づくと共に、地球にも近づき、明るくなってきまし た。12月下旬には、すでに4等星となって、星のよく見えるところなら肉眼でも 確認できるほど明るくなっています。 地球に最も近づくのは、お正月休み明けの1月6日、太陽に最も近づくのが1月 25日ですので、年明けから1月下旬にかけては、3等級ほどの明るさになると期 待されています。 さらに、この彗星が見やすい理由は、この時期に南の空から北上を続け、北 半球からは眺めやすい位置に来ることです。 日本では、1月中旬にはほぼ頭の真上に輝くようになります。彗星の高度が高 く、観測条件がよい時間帯が午後8時頃と夜半前であることも、観察しやすいと いえるでしょう。さらに、北上を続ける途中、1月7日から9日にかけて、おうし 座の中にある有名な散開星団「すばる(M45、プレアデス星団)のそばを通過しま す。彗星を広い夜空の中から探し出すのは、初めての人にとってはなかなか難 しいものですが、この時期なら、肉眼でも見える「すばる」が彗星を探す目印 になるのです。「すばる」が見つかったら、そのあたりをまず、ぼーっとして いる彗星を探してみて、それでも見えなかったら、双眼鏡で探してみると良い でしょう。すばるの星々の鋭い輝きと、ぼーっと雲のように浮かぶ彗星の淡い 輝きの競演は、今年の大きな天体ショーのひとつであることは間違いありませ ん。 そこで国立天文台では、多くの人に彗星を観察してもらうため、「ふたご座 流星群を眺めよう」キャンペーンに引き続いて、今度は「マックホルツ彗星見 えるかな?」キャンペーンをおこなうことにしました。 1月7日~10日の間、肉眼や双眼鏡などですばるのそばに見えるマックホルツ 彗星を観察してもらい、見えたか、見えなかったかの結果を、インターネット 上のキャンペーンページに報告してもらおうというものです。 「ふたご座流星群を眺めよう」キャンペーンでは、2000件を越える報告が集 まり、その集計から日本のどの地方から、どの程度の流星が見えたかがわかり ました。同じような集計から、日本のどこで彗星が見えたかが、わかるしくみ です。携帯電話からでも参加できますので、今まで彗星を見たことがないとい う方も、ぜひチャレンジしてみてください。 なお、今回の「マックホルツ彗星見えるかな?」キャンペーンは時間帯は特定 していません。ですので、じっくり見てみてください。また、「このキャンペー ンの前後もちゃんと見ることが出来ます」ので、誤解されないようご注意くだ さい。 参照:国立天文台「マックホルツ彗星見えるかな」キャンペンページ パソコン用 http://www.nao.ac.jp/ 携帯電話用 http://www.nao.ac.jp/i/ 国立天文台「ふたご座流星群を眺めよう」キャンペーン結果集計ページ http://www.nao.ac.jp/pio/20041213geminids/result.html 2004年12月27日 国立天文台・広報普及室