アストロ・トピックス
No.046: 明るくなるか、マックホルツ彗星
今年の春にはいくつかの肉眼彗星が出現し、天文ファンの目を楽しませてく れましたが、今年の年末から来年にかけて明るくなりそうな期待を抱かせる彗 星が新たに発見されました。アメリカ・カリフォルニア州に住むコメットハン ター、マックホルツ(Machholz, D.E.)が、2004年8月27日12時過ぎ(世界時)に、 15センチメートル望遠鏡での捜索中、エリダヌス座の中に11等級の明るさで発 見した新彗星です。ちなみに、マックホルツの彗星発見数は10個となりました。 その後、世界各地での追跡観測がおこなわれ、「C/2004 Q2 (Machholz)」と 命名されました。そして、8月30日までの38個の位置観測から、次のような暫定 軌道が計算されています。 近日点通過時刻 2005年1月24.837日 (力学時) 近日点距離 1.20341 天文単位 離心率 1.0 近日点引数 19.591 度 (2000.0分点) 昇交点黄経 93.580 度 (2000.0分点) 軌道傾斜角 38.596 度 (2000.0分点) この軌道から、今後の位置や明るさを予想すると、この彗星が標準的な明る さの変化をした場合、2004年末から2005年始頃にかけて4等級まで明るくなり、 肉眼でも見える可能性があります。また、冬の星座おうし座付近を北上すると いう日本でも大変に観察しやすいコースを通ります。 ただ、彗星の明るさの予想は大変に難しく、どこまで明るくなるかはもうし ばらく観測を続ける必要があります。また、今年5月に明るくなったニート彗星 が最大3等級になりましたが、4等級ということになると街中で観察するのは難 しいでしょう。 天文ファンにとっては、これから楽しみな彗星であることは間違いないでしょ う。 参照:IAUC 8394 (Aug. 27 2004). マックホルツすい星の軌道と今後の予報(国際天文学連合). さじアストロパーク天文ニュース No.120 (2004年9月2日). 2004年9月9日 国立天文台・広報普及室 ---------------------------------------------------------------------- ※この情報は鳥取県さじアストロパークの織部隆明(おりべたかあき)さんより、 いただきました。