アストロ・トピックス

No.009: ブラッドフィールド彗星、太陽観測衛星で見え始める

 国立天文台アストロ・トピックス(6)で紹介した新彗星、ブラッドフィールド
彗星(C/2004 F4)の姿が太陽に近づき、尾を延ばした姿が太陽観測衛星の視野に
はいってきて、インターネット上の画像で眺めることができるようになりまし
た。

 この彗星は、4月13日に日没直後の西の地平線近くで、約3等級という明るさ
で輝いていましたが、その後、太陽にどんどん近づいていったために見えなく
なってしまっていました。これから、4月下旬になって日の出前の東の地平線に
姿を現すまでは、地上では観測できないわけです。

 ところが、このブラッドフィールド彗星は、太陽に非常に近づくタイプの軌
道を持っています。太陽に最接近する4月17日には、その距離が 0.16 天文単位
となります。その前後には、太陽観測衛星である宇宙天文台ソーホー(SOHO)に
よって観測されるのでは、と期待されていました。ソーホーは、コロナグラフ
と呼ばれる装置を搭載しており、太陽そのものを覆い隠して、その周りのコロ
ナを常時観測しています。これまでも太陽に近づいて明るくなった彗星が多数、
発見されています。このコロナグラフの画像は、リアルタイムでインターネッ
ト上に公開されており、誰でも見ることができるようになっています。

 16日早朝、ブラッドフィールド彗星が、尾をのばした彗星らしい姿となって、
そのコロナグラフの視野に入ってきました。17日の最接近を挟んで、ここ数日
は、このコロナグラフの C3 と呼ばれる画像で、誰でもブラッドフィールド彗
星を楽しむことができるでしょう。

参照:太陽観測衛星ソーホーのコロナグラフリアルタイム画像
    http://lasco-www.nrl.navy.mil/realtime.html
    http://sohowww.nascom.nasa.gov/data/realtime/
     ※ 彗星を見るには「C3」というコロナグラフの画像をご覧ください

      2004年4月16日            国立天文台・広報普及室