世界天文年2009日本委員会 公認イベント
「君もガリレオ」プロジェクトとのタイアップイベント
国立天文台では、できるだけ多くの方に夜空を眺める機会を持っていただこうと、夏に活動するペルセウス座流星群を観察対象に、今年で3年目となる「夏の夜、流れ星を数えよう」キャンペーンを行いました。ペルセウス座流星群の活動が活発になると思われる8月11日の夜から15日の朝までの4夜の間に15分間以上星空を眺め、結果を報告ページから報告していただこうというものです。
今回は2103件(うち有効な報告は2079件)のご報告をいただきました。たくさんのご報告ありがとうございました。
→ 最終集計結果はこちらをご覧ください。
2009年8月13日撮影の流星のムービーです。夏の大三角の近くに出現しました。
観測地:長野県立科町
撮影:国立天文台天文情報センター
超高感度ビデオカメラによるペルセウス座流星群のムービーを提供していただきましたので、掲載します。流星の色がわかるきれいな映像ですので、ぜひご覧ください。
撮影日:2009年8月12-13日
撮影地:長野県立科町
撮影者:竹本宗一郎(ZERO CORPORATION)
撮影協力:佐藤幹哉(国立天文台天文情報センター)
このキャンペーンは、世界天文年2009日本委員会の公認イベントです。
また、かつてガリレオが体験した驚きや発見の追体験をめざす「君もガリレオ」プロジェクトとタイアップし、「天体観察キャンペーン」に協力しています。
携帯電話用のキャンペーンページへは、 http://www.nao.ac.jp/i/phenomena/20090811/index.html からアクセスしてください。
前回と同様に、今回の携帯電話用ページでは、通常の報告ページだけではなく「初級編」も実施します。
携帯電話で国立天文台のページを見ようとしたときに、携帯電話側の制限によって、ページを見ることができない場合があります。そのような場合には「携帯電話のアクセス制限ついて」をご覧ください。
ペルセウス座流星群の活発さの変化をほぼリアルタイムでお知らせするために、報告された流星の1時間ごとの平均数を10分おきに自動集計し、インターネット上で公開します。
この集計では、ペルセウス座流星群の活発さを知るため、ペルセウス座流星群の流星を他の流星と区別して数えた報告だけを集計の対象とします。ぜひ、ペルセウス座流星群の流星とそうでない流星の区別のしかたをマスターして、この集計に参加してください。(もちろん、「ペルセウス座流星群の流星かどうか区別しなかった」という方も、全体の集計の対象になりますので、どんどん報告してくださいね。)
流星を眺めて楽しむだけでなく正式な観測をしたいという方向けに、上級者向けページも用意しました。上級者向けといっても、いくつかの点に注意すれば、始めるのはそれほど難しくありません。
2009年は、イタリアの科学者ガリレオ・ガリレイが初めて望遠鏡を夜空に向け、宇宙への扉を開いてから400年経った節目の年として、国際連合・ユネスコ・国際天文学連合によって「世界天文年」と定められました。国立天文台ではこの2009年に、「世界天文年2009日本委員会公認イベント」として、「三大流星群」と呼ばれる3つの流星群(しぶんぎ座流星群、ペルセウス座流星群、ふたご座流星群)を対象にして、それぞれの活動時期に合わせた3つのキャンペーンを、「世界天文年2009 公認イベント」としておこなっています。
3つのキャンペーンすべてに参加しなければいけないということではありませんので、しぶんぎ座流星群のキャンペーンに参加しなかった方も、これからのキャンペーンに参加して、あらためて星空の美しさや宇宙の不思議に触れてみませんか。
今回のキャンペーンに参加して観察結果の報告後にメールアドレスを登録すると、次のキャンペーンのお知らせをそのアドレスにお届けします。ぜひ登録をお願いします。
流星(「流れ星」とも言います)とは、宇宙空間にある直径1ミリメートルから数センチメートル程度のチリの粒が地球の大気に飛び込んできて、大気と激しく摩擦を起こし、高温になると同時に光って見える現象です。
彗星はこのようなチリの粒を軌道上に放出していて、チリの粒の集団は、それを放出した彗星の軌道上に密集しています。彗星の軌道と地球の軌道が交差している場合、地球がその位置にさしかかると、チリの粒がまとめて地球の大気に飛び込んできます。地球が彗星の軌道を横切る日時は毎年ほぼ決まっていますので、毎年特定の時期に特定の流星群が出現するわけです。
このとき、地球に飛び込んでくるチリの粒はみな同じ方向からやってきます。それぞれのチリの粒はほぼ平行に地球の大気に飛び込んできますが、それを地上から見ると、その流星群に属している流星は、星空のある一点から放射状に飛び出すように見えます。流星が飛び出す中心となる点を「放射点」と呼び、一般には、放射点のある星座の名前をとって「○○座流星群」と呼ばれます。
流星の出現数ですが、流星群の放射点が地平線付近にあるときには、チリが大気にななめから飛び込んでくるためにチリの数は少なく、流星はほとんど出現しません。流星群の活動の活発さが変わらないと仮定すると、放射点の高度が高くなるにしたがって流星の出現数は多くなります。
ペルセウス座流星群の流星の写真
(2007年8月13日1時14分)
画像提供:吉尾賢治 【二次利用可】
クリックすると拡大します。
ペルセウス座流星群は、毎年8月12〜13日ごろを中心に活動している流星群です。世界的に見ると、今年はおおよそ(日本時間で)13日の未明に最も活動が活発になるだろうと予想されていますが、極大の前後1週間ぐらいは流星の出現が期待できます。(活動が最も活発になることやその時期を「極大」と呼びます。)
ペルセウス座流星群は、流星を初めて眺めようという人にもお勧めの流星群です。
その理由のひとつは、流星の出現数が多いことです。毎年、ほぼ決まって、たくさんの流星が出現し、1月の「しぶんぎ座流星群」、12月の「ふたご座流星群」と並んで「三大流星群」と呼ばれています。十分に暗い夜空で晴天に恵まれれば、1時間に30個を越える流星を見ることができます。
もうひとつの理由は、夏休みやお盆休みの方が多く、夜更かしをしたり、星のよく見える場所に行ったりしやすいことです。
その他にも、夏なので夜でも暖かいことが挙げられます。三大流星群のうち「しぶんぎ座流星群」と「ふたご座流星群」は冬に活動するため、長い時間屋外で流星を観察していると、体が冷えてたいへん辛いことがあります。しかし、ペルセウス座流星群は夏のさかりに活動しますので、寒さについてあまり心配する必要がありません。(それでも、長時間屋外にいると普段より体が冷えますので、寒さには十分注意してください。)
流星を観察するのに適した、月明かりのない暗い空を考えると、ペルセウス座流星群の放射点の高度がある程度高くなり、流星が出現し始めるのは21時頃です。それ以前は、放射点の高度がまだあまり高くないため、多くの流星が出現することは期待できません。放射点の高度が高くなる真夜中を過ぎる頃から流星の出現は増えていき、放射点の高度がいちばん高くなる、空が明るくなる直前までが観察に適した時間帯となります。(ただし、今年はこれに加えて、月の影響を考慮する必要があります。月の状況については「いつ見ればよい?」をご覧ください。)
2008年8月14日撮影の流星のムービーをご覧いただけます。
観測地:長野県立科町
撮影:国立天文台天文情報センター
望遠鏡や双眼鏡などの特別な道具は必要ありません。肉眼で観察してください。
(望遠鏡や双眼鏡を使用すると、見ることのできる範囲がたいへん狭くなるために、かえって観察しづらくなります。)
地域で言えば、日本全国どこででも流星を見ることができます。(南半球の中・高緯度地域を除く、地球上の全域で流星が出現します。)
流星を観察する場所ですが、できるだけ、街灯など人工の明かりが少ない場所を選びましょう。流星などほとんどの天体が出す光は、街灯の明かりなどに比べるととても弱いものです。人工の明かりが少なければ、人工の明かりに邪魔されて見ることができなかった暗い流星も見ることができるようになり、それだけ、多くの流星を見ることができます。
また、大都市には人工の明かりがたくさんあります。大都市から離れることでも、暗い流星を見ることができるようになります。
ペルセウス座流星群の流星は、放射点がある程度の高さになる21時頃から出現し始め、放射点の高度が高くなる真夜中以降、たくさんの流星が出現するようになります。明け方に近くなるにしたがって放射点の高度は高くなりますので、なるべくなら空が明るくなり始める頃まで頑張ってみることをお勧めします。月は、できることなら避けたいところですが、今年は21時から23時頃に上り夜が明けるまで沈みませんので、月を避けて観察するのは難しいでしょう。
今年のペルセウス座流星群の活動は13日の未明に極大を迎えると予想されていますので、その点では今年は条件の良い年です。しかし、年によって極大がずれることなどもありますので、流星をたくさん見るためには、予想された極大の前後の時刻にだけ観察するのではなく、なるべく長い時間観察するのがよいでしょう。
今回のキャンペーンでは8月11日の夜から14日の夜(15日の明け方まで)にかけて空を眺めるよう呼びかけています。しかし、それ以外の日でも、11日や12日の夜を中心に、前後1週間ぐらいは流星群が活動していますので、極大のときより少なくはなりますが、他の夜にも流星を見る機会はあります。
→各地の月の出時刻や日の出時刻を調べるには、暦計算室の「こよみの計算」へ
※ 空が明るくなり始めるのは、日の出の約1時間半前です。
ペルセウス座流星群の放射点はペルセウス座γ星の近くにありますが、放射点のある方向だけに流星が出現するわけではなく、流星は夜空のどこにでも現れます。放射点近くに出現する流星は、こちらに向かって飛んでいるために短い軌跡の流星が多く、一方、放射点から離れた方向では、流星の軌跡を横から見ることになるために、長い軌跡の流星が多く観察されます。
ですから、放射点の方向にはあまりこだわらず、できるだけ空が広く見渡せる場所を選んで、空の広い範囲に注意を向けるようにしましょう。空をより広く見渡しているほうが、より多くの流星を捉える可能性が高くなります。
図は、8月中旬0時(真夜中)頃の、北東の方角の星空を示しています。
星は日周運動によって動いています。0時よりも何時間も前や、0時から何時間も経つと、星の見える位置がこの図とは違いますのでご注意ください。(見る場所による差はあまりありませんので、東京以外でもこの図を利用できます。)
ひと晩のうちには、どの流星群にも属していない流星もいくつか出現します。このように「群」に属さない流星は「散在流星」と呼ばれます。また、この時期、出現数は少ないながらも、ペルセウス座流星群以外の流星群も活動しています。そのため、この時期に流星を見たからといって、その流星が必ずペルセウス座流星群の流星であるとは限りません。
自分が見た流星がペルセウス座流星群の流星かどうかを判断するには、その流星の軌跡を逆方向に伸ばしてみます。たどった先がペルセウス座流星群の放射点を通れば、その流星はペルセウス座流星群の流星である可能性が高いと考えることができます。(ペルセウス座流星群の流星は、その放射点を中心にして放射状に出現することを思い出してください。)
放射点の位置については、国立天文台暦計算室の「今日のほしぞら」もご利用ください。代表的な都市の星空の様子(惑星や星座の見え方)といっしょに、ペルセウス座流星群の放射点の位置を調べることができます。
→暦計算室「今日のほしぞら」([ペルセウス放射点]と表示されています)
遅い時刻に屋外で行動することになりますので、事故などには十分注意してください。特にお子さんは、保護者の方と一緒に行動するようにしましょう。また、まわりの皆さんの迷惑にならないよう気をつけてください。
明るい屋内から屋外に出てすぐには、目が暗さに慣れていません。何分か屋外にいて目を慣らしてから、やっと星空や流星などの暗いものが見えるようになります。屋外に出て流星が見えないからといってすぐにあきらめてしまわずに、目が慣れるまでしばらく(15分ぐらい)待つことも必要です。
また、普段の生活では、夜の屋外で何十分もじっとしていることはなかなかないかもしれません。暖かい季節ですが、寒さには十分注意してください。普段外出するときよりも厚着をする、防寒着や寝袋を使うなど、寒さ対策を十分にして観察に望んでください。
虫の多い季節ですので、虫よけや虫さされの薬なども用意したほうがよいかもしれません。
立ったままで流星を観察すると、上を向いた無理な姿勢を長時間続けることになります。レジャーシートなどを用意して、寝転がったまま観察できる準備をしておくと、楽に長時間観察を続けることができます。
このキャンペーンでは、多くの皆さんに流星を観察していただくよう呼びかけていますが、キャンペーンに報告をいただくことが、そのまま正式な観測というわけではありません。流星を何度か観察されている皆さんの中には、正式な観測をやってみたいと考えている方もいらっしゃると思いますので、上級者向けのページで、正式な観測方法の一例を紹介します。「上級者」とは言っても、いくつかの点に注意をすれば簡単に始めることができますので、興味のある方は是非チャレンジしてみてください。
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