報告受付を終了しました。
8月30日までに3,138件の報告をいただきました。たくさんの報告ありがとうございました。
9月6日に最終集計結果を掲載いたしました。
→最終集計結果はこちらからご覧ください。
8月28日、全国で皆既月食が見られます。地球の影の中に月がすっぽりと入ってしまうこの現象が全国で見られるのは、2001年1月以来6年ぶりのことです。また今回の月食は、夕刻から夜という多くの人にとって観察しやすい時間帯に起こるのもひとつの特徴です。
皆既月食中の月は、一般的に真っ黒にはならず、赤銅色とよく表現される赤黒い色で見られることが多いです。しかしこの色は、皆既月食ごとに変化することが知られています。
そこで、国立天文台では、より多くの方にこの皆既月食という現象を観察してもらうために、「皆既月食どんな色?」というキャンペーンを行うことにしました。月食をただ眺めるのではなく、皆既月食中の月がいったいどんな色に見えるのか? ぜひ報告して下さい。
報告内容は、月の色、観察時刻、観察方法、観察地、年齢などです。
→受付時の報告内容はこちら(閲覧のみ可能です)
携帯電話用のキャンペーンページへはこちらからアクセスしてください。
皆既月食の解説ムービーを作成しました。ぜひご覧ください(Windows Media Player 9以上でご覧ください)。
ビデオカメラを用いた月食の動画ライブ中継を試みましたが、途中で雷雨に見舞われ、月の動画の配信は、できませんでした。現在、静止画による速報画像(後半の部分食)のみ、ご覧いただけます。
月は太陽光を反射して輝いています。月食とは、太陽−地球−月が一直線に並んで、月が地球の影に入ることで暗くなり、まるで月が欠けてしまったかのように見える現象です。
地球の影には、太陽光の一部だけがさえぎられた「半影」と、太陽光の大部分がさえぎられた「本影」の2種類があります。月が半影に入ることを「半影食」といいます。半影はぼんやりとした影なので、目で見ただけでは月食なのかどうか、はっきりとはわかりません。一方、月が本影に入ることを「本影食」といいます。本影は暗い影なので、本影食が始まると、肉眼でも、まるで月が欠けているかのように見ることができます。一般に「月食」という場合は「本影食」のことを指します。
月がこの本影の中に入ると、月食が始まります。月の一部分だけが本影の中に入ることを部分食(部分月食)といいます。月が、影の中心からだいぶそれて通る場合には、部分食しか起こらないこともあります。
一方で、8月28日のように本影の中にすっぽりと入ってしまうと、部分食につづいて皆既食(皆既月食)となります。あとで詳しく述べますが、この本影には、通常わずかに赤い光が入り込んでいるため、皆既中の月は赤銅色と表現されるような赤黒い色で見られることが多いです。
皆既食が終わると、再び部分食となります。やがて本影から月が完全に離れると、月食が終わります。もしかしたら月食が終わったあとも、月面に少しだけぼんやりとした暗さが残って見えるかもしれません。これは半影食の影響です。やがて半影食も終わると、完全に明るくなった満月に戻ります。
8月28日の月食(本影食)は、17時51分に始まります。しかしこの時刻には、日本のほとんどの地域で月が地平線の下にあり見られません。したがって月は、月食が始まった状態(月が欠けた状態)で地平線から昇ってきます(「月出帯食」といいます)。月食の経過は日本全国どこでもほとんど同じ時刻ですが、月の出の時刻は観察する場所によって大きく異なります。東京では18時11分に月の出となりますが、この時の月は約3割ほど欠けた状態で昇ってきます。大まかにいうと、東日本ほど早い時間帯に月の出となります。このため、月食を観察できる時間は東日本ほど長くなります。また皆既月食が始まるときの月の地平線からの高さも、東日本の方が高く、条件が良いことになります。
皆既食は、18時52分に始まります。このとき、月は本影の中にすっぽりと入り込んでしまいます。皆既食はこのあと、約1時間半続きます(なお、南西諸島の一部では、皆既食となった後に月の出となります)。
食の最大(月が、本影の最も中側に入り込むこと)は、19時37分です。そして再び本影の縁に月が差しかかり、皆既食が終わるのは20時23分となります。ここからは約1時間部分食が続き、21時24分に月食が終わります。
この後もまだ月は半影の中を通過しているため、しばらくは薄暗い部分が月面に残って見えるかもしれません。この半影食は22時23分まで続きますが、半影の縁ははっきりしないため、いつ終わったかを見極めることは困難です。いつの間にか、明るい満月に戻って見られるでしょう。
なお、各地の月の出や月食中の月の位置は、暦計算室の月食各地予報で調べることができます。ぜひご参照ください。
現象名 | 現象時刻 | 備考 |
---|---|---|
半影食の始め | 16時52.2分 | ※1 |
月食の始め | 17時50.9分 | ※1 |
皆既食の始め | 18時52.0分 | |
食の最大 | 19時37.4分 | |
皆既食の終わり | 20時22.7分 | |
月食の終わり | 21時23.8分 | |
半影食の終わり | 22時22.5分 |
皆既月食になると、月が本影の中に完全に入り込むため、月がまったく見えなくなってしまうように思われます。しかし、実際には本影の中にわずかに回り込む光の影響で、そうはなりません。
地球のまわりには大気があります。太陽光がこの大気の中を進むと、大気がレンズのような役割をして、ほんのわずかですが屈折して進みます。 この時、青い光は空気の分子によって途中で散乱してしまいます。これに対して赤い光は散乱しづらいため、屈折して本影の中に入り込むのです。このかすかな赤い光が皆既中の月面を照らします。このため、皆既中の月は赤黒く見えるのです。
皆既中の色は月食の度に変わることが知られています。大気中にチリが少ないと、大気を通り抜ける光の量が多くなり明るいオレンジ色に、逆にチリが多いと通り抜ける光の量が少なくなり、黒っぽく見えます。今回の月食では、皆既中の月はどのような色に見えるでしょうか。ぜひ観察して、ご報告ください。
月食は、肉眼でも十分観察できる天文現象です。東の空から昇ってくる月を肉眼で探してみましょう。すでに月食が始まっていて、欠けているように見えることでしょう。早い時間帯から観察するには、東〜南東方向がよく開けていて地平線近くまで見える場所がおすすめです。
皆既中は、月がどのような色に染まるのか、ぜひその目で観察してください。
双眼鏡や望遠鏡を持っている方は、ぜひそれらを使って月を見てみましょう。特に部分食のときには、地球の影が月を移動していく様子が、わかりやすいでしょう。
なお皆既中は、肉眼で見たイメージと多少違った色に見えるかもしれません。見比べてみましょう。
せっかく観察しやすい現象ですから、ぜひスケッチをとって記録を残してみましょう。部分食のときには、月面のどこまで影が入り込んだかを、月の模様と比べて記録するとよいでしょう。皆既食のときには、月がどのような色に見えたか、色鉛筆やクレヨンなどで色を付けてみるとよいでしょう。あとで、今回の月食がどんな風に見えたのかを振り返ることのできる、よい記録になることでしょう。
→スケッチ用紙はこちら(pdf形式)。ダウンロードして印刷してご使用ください。
最近は、ビデオカメラやデジタルカメラの性能が良くなりました。ぜひ月食中の月を撮影してみましょう。ズーム機能をなるべく望遠側にして、撮影してみましょう。このとき、三脚などに固定すると、手ブレを防ぐことができます。なおデジタルズームは画質が劣化するので、あまりおすすめできません。
明る過ぎて写ったり、逆に暗くて月が写らなかったりする場合は、シャッタースピードや絞りを調節してみましょう。部分食中の月は比較的明るいので、シャッタースピードを速めにしたり、絞りの値を大きく設定するとよいでしょう。皆既食中の月はかなり暗いので、絞りの値を小さくしたり、スローシャッターモードや夜景モードなどを試してみるとよいでしょう。
またピントですが、設定することができるカメラでは「無限遠」に合わせましょう。無い場合には「遠景モード」などをお試しいただくのも、よいかもしれません。
望遠鏡を使うことができる場合は、接眼部(目でのぞく部分)に、デジタルカメラやカメラ付き携帯電話を当てて撮影すると、月が意外に大きく写ります。お試し下さい。
なお各地の観望会に参加してこの方法を試す場合には、スタッフの方の指示に従うようご注意ください。
もちろんフィルム式カメラでも撮影可能です。しかしシャッタースピードや絞りの値を決めるのが少々難しいので、注意が必要です。この点からいうと、撮影してすぐ確認できるデジタルカメラを使って色々と試した方が、良い写真(画像)を得られやすいでしょう。
「前回見られた皆既月食はいつでしたか? また次回はいつ見えるのですか?」「キャンペーンの色の報告は、何度してもいいのですか?」などのさらに詳しい内容を質問形式にまとめました。合わせて、ご参照ください。