No.483: 3本のレーザービームがマウナケア山頂の夜空を舞う

 従来からの天体観測といえば、望遠鏡に取り付けたカメラで星の光を待ち構
えるスタイルです。最先端の観測では、レーザービームを上空に照射し、得ら
れる情報で観測精度を高める「レーザーガイド星生成システム」を用いること
があります。去る6月9日の夜半前、マウナケア山頂の夜空には3台の大型望遠
鏡から照射されたレーザービームが同時に見られました。
 地上で見られる天体の光は、上空の大気が揺らいでいるために乱れた像に
なっています。大気揺らぎによる光の乱れ具合を測定し、リアルタイムで像の
劣化を補正して本来の光のクオリティーに近づける技術が波面補償光学です。
波面補償光学装置を利用することで、すばる望遠鏡の分解能は10倍も高くなり
ます。
 ただし、波面補償光学装置を用いる際は、観測する天体の近傍に、揺らぎを
測定するための明るい星 (ガイド星) がなければなりません。都合のよいガイ
ド星がない場合に、威力を発揮する仕組みがレーザーガイド星生成システムで
す。レーザービームを観測天体近くの上空約90キロメートルの大気中に照射し
て人工の星を作り、大気の揺らぎを測定するガイド星とするのです。
 マウナケア山頂にあるすばる望遠鏡、ケック望遠鏡、ジェミニ北望遠鏡の3
台の大型望遠鏡には、それぞれ波面補償光学装置とレーザーガイド星生成シス
テムが備わっています。すばる望遠鏡では、2006年暮れに初めてレーザービー
ムの照射実験に成功しました。その後は精度を高めるため、さらなる試験観測
を続けています。
 3本のレーザービームが同時に照射された6月9日は月が明るい夜でしたが、
ハワイ観測所の布施哲治 (ふせてつはる) さんは「肉眼では見づらいほど淡い
レーザービームですが、長時間露光による撮影によってその姿をはっきりとら
えることができました」と話しています。
※写真は、参照先のすばるトピックスのウェブページをご覧ください。なお、
写真に写るマウナケア山頂の景観が昼間のように見えるのは、月明かりのため
です。
 
参照:
 すばるトピックス「3本のレーザービームがマウナケア山頂の夜空を舞う」
 (すばる望遠鏡)
  http://www.naoj.org/Topics/2009/06/26/j_index.html
 すばるの観測装置「188素子波面補償光学装置 AO (Adaptive Optics)」 (
すばる望遠鏡)
  http://www.naoj.org/Introduction/j_instrument.html#AO
 観測成果「レーザーガイド補償光学のファーストライト成功
-すばる望遠鏡の視力を10倍にするレーザーガイド補償光学!-」 (すばる
望遠鏡)
  http://www.naoj.org/Pressrelease/2006/11/20/j_index.html
 
      2009年7月3日            国立天文台・広報室

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