自然科学研究機構 国立天文台

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No.453: 惑星をつくる円盤表面に氷を発見~惑星の水の起源に迫る~

 私たちの住む地球は、水の惑星です。私たち自身を含む地球の生命は、地球
に豊富に存在する水によって生命活動を支えられています。当たり前のように
地球に存在している水ですが、その起源はいまだ明らかではありません。地球
のような惑星には、いったいどのようにして水がもたらされたのでしょうか。

 水の起源についてはいくつかの仮説があります。その中でも有力な説に、惑
星の材料である塵の中に含まれていた固体の水、つまり氷を起源とする説があ
ります。また、形成期の惑星に多数の彗星 (氷と塵の塊) が衝突して、水がも
たらされたという説もあります。実際、生まれたての星の周りにある塵を観測
してみると、確かにそこには氷が存在していることが明らかになっています。
しかしながら、これまでの観測では星の周りを取り巻く塵のどの場所に氷が豊
富に含まれているのかについては、よくわかっていませんでした。
 そこで、神奈川大学などの研究者からなる研究チームでは、すばる望遠鏡に
搭載された近赤外線の撮像観測装置CIAO (注1) を使って、惑星が誕生してい
る現場である原始惑星系円盤を観測し、氷がどこに分布しているか調べまし
た。その結果、氷が原始惑星系円盤の表面に存在していることを初めて明らか
にしたのです。
 今回、研究チームが氷を見つけた場所は、中心の恒星から約140天文単位 (
注2) 以上離れた場所でした。惑星が生まれるのは、もっと中心の恒星に近い
場所と考えられています。したがって、この研究で見つかった氷は、惑星の材
料というよりはむしろ彗星の材料と言う方がよいのかもしれません。いずれに
せよ、今回の研究の成果は、惑星の水の起源を解き明かす上で重要な手がかり
になると期待されます。
 この研究は、2009年1月10日発行の米国天体物理学専門誌「アストロフィジ
カル・ジャーナル」に掲載されています。
 
参照:
 "Detection of Water ICE Grains on the Surface of the Circumstellar 
Disk Around HD 142527"
   Honda M., Inoue A. K., Fukagawa M., Oka A., Nakamoto T., 
   Ishii M., Terada. H., Takato N., Kawakita H., Okamoto Y. K., 
   Shibai H., Tamura M., Kudo T., Itoh Y., 2009, ApJ 690, L110
 すばる望遠鏡、若い恒星周囲の円盤表面に氷を発見 - 海の材料か?
  http://www.subarutelescope.org/Pressrelease/2009/02/17/j_index.html
 すばる、新しい形の円盤を発見 ~多波長赤外線でみる惑星誕生現場の姿~
  http://www.subarutelescope.org/Pressrelease/2006/06/27/j_index.html
 すばる望遠鏡 コロナグラフ撮像装置 CIAO
  http://subarutelescope.org/Introduction/instrument/j_CIAO.html
 
      2009年2月27日            国立天文台・広報室

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国立天文台 アストロ・トピックスは、2010年6月まで発行していたメールニュースです。2010年7月からは、「国立天文台 メールニュース」として装いも新たにし、注目いただきたいトピックスの主要な内容とその詳細情報の参照先をお届けしています。

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