No.426: 高校生の天文研究体験学習「美ら星研究体験隊」の成果

 沖縄県の高校生を対象に、国立天文台水沢VERA (ベラ) 観測所 石垣島観測
局の口径20メートル電波望遠鏡と、石垣島天文台の口径105センチメートル光
学赤外線望遠鏡 (愛称:むりかぶし) を使った観測と研究を行う天文研究体験
学習「美ら星 (ちゅらぼし) 研究探検隊 (以下、美ら研)」が、今年も8月11日
から 13日の3日間で開催されました。
 今年で3回目となる「美ら研」には、沖縄県立八重山高等学校 (石垣市) か
ら6名、沖縄県立開邦高等学校 (那覇市) から3名の合計9名の参加があり、4班
に分かれて2つの観測施設を利用し、観測体験やデータ解析などの研究体験を
行いました。そして、電波星の発見と、小惑星の発見という成果をあげること
ができました。
 今回発見された電波星は、いっかくじゅう座にある水分子が発するメーザー
(水メーザー) を伴った天体です。発見したグループは、これまでに酸化ケイ
素が発するメーザー (SiOメーザー) が検出されている15個を候補天体として
観測 を行い、そのうちの1つに水メーザーと思われる信号を検出しました。し
かし、翌日の追観測の結果、雑音と区別ができず、新しい水メーザー天体の確
認には至りませんでした。
 この結果をうけて、水沢VERA観測所水沢観測局(岩手県奥州市)の電波望遠鏡
で、8月17日にこの天体を長時間かけて観測したところ、同じ周波数に水メー
ザーの信号を検出することができ、「美ら研」グループが観測した天体が、新
たな水メーザー天体であることが明らかになりました。
 「美ら研」による水メーザー天体の発見は、2005年に続いて2回目です(国立
天文台アストロ・トピックス(131)参照)。メーザー天体の距離を求めて銀河系
の立体地図作りをめざすVERA計画にとって、観測天体が一つでも増えることは
大きな意義があります。
 小惑星は、石垣島天文台のむりかぶし望遠鏡を用いて8月3日と5日に撮影さ
れた画像から発見されました。期間中は天候が悪く観測ができず、60枚近い過
去の観測画像の解析を行った中で、恒星とは異なる動きをする天体をやぎ座の
方向に発見しました。
 この天体について、後日、石垣島天文台で確認観測を行ったところ、新しい
小惑星の可能性が高いことが明らかになりました。中野主一 (なかのしゅいち
)さんを通じて国際天文学連合に報告をしたところ、小惑星「2008 QA3」とい
う仮符号を得ることができました。
 今回発見された小惑星は、約19等と暗く、火星と木星の間に位置する直径数
キロメートルの小さな天体であると考えられます。より正確な軌道を求めるた
めには、今後たび重なる観測が必要で、小惑星番号と命名(提案)権を得るまで
はまだ時間がかかりますが、発見した高校生は「二十歳の記念に小惑星に名前
が付けられるとよいな」と喜んでいました。
 この2つの成果は、10月18日から行われた、第32回県高校総合文化祭科学部
門・第48回県生徒科学賞作品展 (沖縄県高校文化連盟科学専門部主催) に出展
され、「メーザー天体の発見」は最優秀賞に、「小惑星の発見」は優秀賞に選
ばれ、表彰されました。
 
参照:
 国立天文台 アストロ・トピックス (131)
  高校生天文研究体験学習「美ら星研究体験隊」が新しいメーザー源を発見

   http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000131.html
 
      2008年10月29日            国立天文台・広報室

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国立天文台 アストロ・トピックスは、2010年6月まで発行していたメールニュースです。2010年7月からは、「国立天文台 メールニュース」として装いも新たにし、注目いただきたいトピックスの主要な内容とその詳細情報の参照先をお届けしています。

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