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No.408: 国際ガンマ線天文衛星、「フェルミ・ガンマ線天文衛星」と命名披露

 日本も参加している国際ガンマ線天文衛星 (注) GLAST (グラスト、
Gamma-ray Large Area Space Telescope) は、打ち上げから約2カ月間にわた
る 軌道上での性能検査を終え、科学的なデータを得る準備が整いました。こ
れを区切りに、日本時間の8月27日未明、NASA (アメリカ航空宇宙局) は、
GLASTの名称を「フェルミ・ガンマ線天文衛星 (Fermi Gamma-ray Space 
Telescope) 」と改名して発表しました。
 この新しい名称は、高エネルギー物理学の開拓者であり1938年にノーベル物
理学賞を受賞した、エンリコ・フェルミ (Enrico Fermi) 教授の功績をたたえ
たものです。
 ガンマ線は、最も高いエネルギーを持つ電磁波で、人間の目で見えている可
視光線に比べると100万倍のエネルギーを持っています。宇宙において、ガン
マ線は、ブラックホールや中性子星、超新星残骸などと関連した現象から放射
されます。つまり、宇宙での非常に激しい活動現象を反映する電磁波なので
す。
 フェルミ・ガンマ線天文衛星 (以下、フェルミ衛星) は、宇宙からのガンマ
線を、高感度、広視野、高位置分解能で、連続的に観測できる画期的なガンマ
線望遠鏡です。フェルミ衛星の観測データは、ブラックホールや、中性子星、
超新星残骸によって、どのように物質が加速されるかを解明するための手がか
りを与えてくれると期待されています。また、謎に包まれたガンマ線バースト
現象を明らかにする上でも、貴重なデータをもたらしてくれるでしょう。
 フェルミ衛星には日本の研究者も重要な貢献をしています。たとえば、高視
野・高感度でガンマ線を観測するために衛星に搭載された「ガンマ線大面積望
遠鏡 (LAT) 」には、広島大学の研究チームと浜松ホトニクスによって開発さ
れたセンサーが使われています。また、衛星の運用も、米国、欧州と共同でお
こ なっています。
 フェルミ衛星の観測データを使った日本国内の大学・研究機関の研究体制も
整いつつあり、今後の成果が期待されます。  たとえば、広島大学の光学赤
外線望遠鏡「かなた」や東京工業大学のガンマ線バースト残光追跡観測用望遠
鏡「MITSuME (三つ目) 」、X線天文衛星「すざく」などは、フェルミ衛星に
よって検出されるガンマ線バースト現象や、 ガンマ線領域での突発現象天体
を別の波長で観測する準備を整えています。
 国際宇宙ステーションの日本モジュール「きぼう」に設置予定の全天X線監
視装置MAXIの観測チームは、ブラックホールや中性子星の周りで起こるフレア
現象をフェルミ衛星のガンマ線観測と合わせて総合的に解析することで、それ
らの背景にある物理の基礎過程の理解が進むと考えています。
 また、名古屋大学を中心とする研究チームは、銀河系内の宇宙線が巨大分子
雲と相互作用して生成すると考えられているパイ中間子の検出に大きな期待を
寄せています。
 注:フェルミ・ガンマ線天文衛星は、米国、日本、イタリア、フランス、ス
ウェーデン、ドイツの協力で開発された、大型の国際ガンマ線天文衛星。6月
12日1時5分(日本時間)、米国のケープ・カナベラル空軍基地から、高度560キ
ロメートルの円軌道に打ち上げられた。日本からは、広島大学、東京工業大
学、東京大学、宇宙航空研究開発機構 (JAXA) の宇宙科学研究本部 (ISAS) の
研究者が衛星の開発に参加している。
 
参照:
 日本のフェルミ衛星チームのホームページ (広島大学)
  http://www-heaf.hepl.hiroshima-u.ac.jp/glast/glast-j.html
 NASAのフェルミ衛星のホームページ (英語)
  http://www.nasa.gov/mission_pages/GLAST/main/index.html
 
      2008年8月29日            国立天文台・広報室

国立天文台 メールニュース

国立天文台 アストロ・トピックスは、2010年6月まで発行していたメールニュースです。2010年7月からは、「国立天文台 メールニュース」として装いも新たにし、注目いただきたいトピックスの主要な内容とその詳細情報の参照先をお届けしています。

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