自然科学研究機構 国立天文台

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No.355: 世界初、ふたご座流星群による月面衝突閃光をとらえる

 2007年12月14、15日の夜、ふたご座流星群の流星体によるとみられる月面衝
突閃光の検出に、日本の観測者らが成功しました。しし座流星群、ペルセウス
座流星群に伴う閃光については、多地点からの同時観測によって、その存在が
すでに確実になっていますが、ふたご座流星群については1地点からの観測は
報告されているものの、信頼性の高い多地点同時観測は今回が世界で初めてと
なります。
 これらの観測は、電気通信大学の柳澤正久 (やなぎさわまさひさ) 教授が中
心となって、鹿児島県薩摩川内市のせんだい宇宙館などを通じて呼びかけられ
ました。これに応じた東京都練馬区在住のアマチュア天文家、唐崎秀芳 (から
さきひでよし) さんと、滋賀県守山市在住のアマチュア天文家、石田正行 (い
しだまさゆき) さん、電気通信大学の池上裕美 (いけがみひろみ) さん、石榑
勇介 (いしぐれゆうすけ) さんらの観測によって、月面衝突閃光によるとみら
れる4例の発光が捉えられたのです。このうち3件は滋賀県と東京都の2地点か
ら同時に同じ位置に観測されており、月面での現象であることは間違いないと
考えられます。また、神戸大学の阿部新助 (あべしんすけ) 助教は、兵庫県立
西はりま天文台公園でカラービデオカメラを用いた観測を行い、これら3つの
閃光を確認しました。カラー観測の成功はおそらく世界初であり、詳しい解析
結果が待たれます。
 念のために、これらの現象の時刻と月面上での位置 (注) を以下に記しま
す。他にも、神戸大学の高橋隼 (たかはしじゅん) さんの呼びかけに応じた兵
庫県内の高校生チームをはじめとして、多くのグループが観測に参加してお
り、解析が進めば閃光の数は更に増える可能性があります。
閃光1
発光時刻:2007年12月14日 19時09分20秒 (日本時、以下同じ)
発光位置:南緯8度、西経87度 (グリマルディの西)
閃光2
発光時刻:2007年12月15日 17時54分25秒
発光位置:南緯17度、西経62度 (グリマルディと湿りの海の中間付近)
閃光3
発光時刻:2007年12月15日 17時55分26秒
発光位置:南緯19度、西経82度 (グリマルディの南西)
閃光4
発光時刻:2007年12月15日 19時08分10秒
発光位置:南緯21度、西経72度 (グリマルディの南)
 なお、閃光2、3、4は東京都と滋賀県からの同時観測ですが、閃光1は現在の
ところ1地点のみの観測のため月面閃光とは確認されておらず、現在、同時観
測を調査中です。
 月面衝突閃光は、大きな流星体 (約0.1キログラム以上) が月面の夜側に高
速度 (ふたご座流星群の流星体では、秒速33キロメートル) で衝突したときに
生じる高温ガスおよびプラズマが発する閃光です。特に流星群活動期に月面に
観測される閃光は、この月面衝突閃光であろうと考えられています。しかし、
多地点同時観測により、ノイズや地球大気中での現象あるいは人工衛星ではな
く月面で起きた閃光であることが確実になっても、それが衝突による閃光であ
ることが立証されているわけではありません。月面での放電など他の原因もあ
り得るからです。今回の閃光の特徴の一つは、閃光1を除き、どれも明るいこ
とです。かなり大きな流星体 (サッカーボール程度) が衝突した可能性があ
り、衝突によってクレーターができたかもしれません。このようなクレーター
が日本の月周回衛星「かぐや」で検出される可能性もあり、期待が高まってい
ます。
 注:地球から見た平均の月面中央点が緯度・経度共に0度となる月面上の緯
度・経度で示す。ただし、示した値には2度程度の誤差が見込まれる。
 なお、月面上での東西は地球から見た天球上での東西とは反対になることに
注意が必要である。
 
参照:
 2007年12月のふたご座流星群による月面衝突閃光
 (電気通信大学 柳澤研究室)
  http://www.yanagi.ice.uec.ac.jp/luna/2007Geminids2.html

 ※この記事は、電気通信大学の柳澤正久さんよりご提供いただきました。
 
      2007年12月25日            国立天文台・広報室

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