自然科学研究機構 国立天文台

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No.335: ガス円盤と塵 (ちり) 円盤を伴う双子の原始星を発見

 韓国天文宇宙科学研究院と国立天文台の研究チーム (注1) は、ペルセウス
座方向にある生まれたばかりの双子の原始星において、一方の星にガスが豊富
な円盤が、もう一方の星には塵が豊富な円盤があることを発見しました。双子
の原始星に付随してこのような極端に異なる性質の円盤が見つかったのは初め
てです。
 研究チームは、米国国立電波天文台のVLA電波望遠鏡を用いて、地球から
1000光年ほど離れた散光星雲 NGC 1333 の中の原始星 IRAS 4A を観測しまし
た。アンモニア分子の輝線を利用してガス成分を、熱的電波と呼ばれる連続波
を使って塵成分を測定したのです。アンモニア分子の輝線の観測データから
は、円盤が回転していることも見いだされました。また、ガスと塵がどれだけ
中心に集中しているか、ガスの温度と塵の温度、水メーザー (電波における
レーザー) の存在などから、この双子の原始星は同時に誕生したこと、そして
まだ誕生して間もないことがわかりました。そして驚くべきことに、原始星に
付随する円盤は、片方はガスが豊富でもう片方は塵が豊富という非常に異なっ
た性質を持っていたのです。ガスと塵の存在量の比の違いは7倍にも達してい
ます。
 原始星に付随する円盤でのガスと塵の割合は、木星のようなガス惑星が誕生
する確率と、地球のような固体惑星が誕生する確率に関係している可能性があ
ります。地球のような惑星がどの程度生まれるのか、さらには生命の誕生の可
能性を考える上でも重要であり、その意味からも今回の成果は大変興味深い発
見といえるでしょう。
 電波天文学の観測装置の進展により、これまで難しかった惑星の誕生の場の
直接観測が可能になってきています。国立天文台などが国際協力でチリに建設
中の大型電波望遠鏡 ALMA (アタカマ大型ミリ波サブミリ波干渉計) では、解
像度、感度の飛躍的な向上が期待され、今回発見されたような性質の異なる円
盤を、さらに詳細に観測することにより、惑星誕生の謎にメスをいれることが
できると期待されています。さらに地球外生命の可能性に関しても、なんらか
の知見が得られるかもしれません。
 この観測成果は、10月1日発行の米国の天体物理学専門誌「アストロフィジ
カル・ジャーナル・レターズ」に掲載されます。
 注1:
  Choi, Minho (チョイ・ミンホー、韓国天文宇宙科学研究院)
  立松健一 (たてまつ・けんいち、国立天文台)
  Park, Geumsook (パク・グムスク、韓国天文宇宙科学研究院)
  Kang, Miju (カン・ミジュ、韓国天文宇宙科学研究院)
 
参照:
 M. Choi, K. Tatematsu, G. Park, and M. Kang, "Ammonia Imaging of the

  Disks in the NGC 1333 IRAS 4A Protobinary System", Ap.J. 667, L183

  (2007 Oct 1)

 ガス円盤と塵 (ちり) 円盤を伴う双子の原始星を発見
  (プレスリリース用ホームページ、画像あり)
  http://alma.mtk.nao.ac.jp/~kt/ktpress.html (日本語)
  http://minho.kasi.re.kr/ImageGallery/200709.NGC1333-4NH3/ (英語)

 国立天文台 ALMA推進室 ホームページ
  http://www.nro.nao.ac.jp/alma/J/index.html
 
      2007年10月1日            国立天文台・広報室

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国立天文台 アストロ・トピックスは、2010年6月まで発行していたメールニュースです。2010年7月からは、「国立天文台 メールニュース」として装いも新たにし、注目いただきたいトピックスの主要な内容とその詳細情報の参照先をお届けしています。

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