自然科学研究機構 国立天文台

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No.324: 変光星ミラに尾 (?) を発見

 長周期変光星の代表的な変光星、ミラ (くじら座ο (オミクロン) 星) に、
まるで彗星のような尾があるのが発見されました。この尾のような構造は、ア
メリカ航空宇宙局 (NASA) が2003年4月に打ち上げた紫外線天文衛星ギャレッ
クス (GALEX) によって発見されたものです。
 ミラのような長周期変光星は、脈動型とも呼ばれ、恒星の進化の最終段階に
ある恒星です。このような変光星は多くあるのですが、とりわけミラは太陽に
近いため、極大時の明るさは2等から3等と、肉眼で見ることができるので有名
です (国立天文台 アストロ・トピックス (272) )。周期332日で、脈動を繰り
返しますが、その膨張・収縮の過程で、恒星の外層部分のガスの相当量を宇宙
空間へ放出します。放出される過程で冷えたガスの中から塵が生成し、これら
が星間物質の塵の起源ともなっています。
 ところで、こういった放出物は、通常は拡散して見えなくなったり、或いは
もともとの恒星の周りに惑星状星雲を作ったりするものです。ところが、ミラ
は秒速約130キロメートルほどの速度で宇宙空間を動いています。これはふつ
うの恒星の空間速度に比べても桁違いに速いものです。そのため、ミラの後方
に取り残されたガスが尾のような構造を作っていると考えられます。そのみか
けの長さは満月4個分にもおよび、実際の距離でいえば13光年に達していま
す。ただ、どうやら紫外線だけで光っているため、これまで見つからなかった
よう です。
 この尾の構造を調べると、まるで彗星の尾のように乱れています。これは星
間ガスとぶつかったりして乱流となっている様子と考えられます。乱流で乱れ
たガスが、星間空間の低温分子のガスとぶつかることで水素分子が励起され、
紫外線が発生しているようです。
 この尾を調べることで、その場の星間空間ガスの様子や、ミラが過去3万年
にわたり質量を失ってきた歴史をたどることができると期待されています。
 
参照:
 D. Christopher Martin et al., "A turbulent wake as a tracer of 
30,000 years of Mira's mass loss history", Nature 448, 780-783(16 Aug 
2007)

 アメリカ航空宇宙局 プレス・リリース RELEASE: 07-202
  http://www.nasa.gov/mission_pages/galex/20070815/a.html

 国立天文台 アストロ・トピックス (272)
  今が見どころ、明るくなった変光星「ミラ」
  http://www.nao.ac.jp/nao_topics/data/000272.html

2007年8月17日            国立天文台・広報室

国立天文台 メールニュース

国立天文台 アストロ・トピックスは、2010年6月まで発行していたメールニュースです。2010年7月からは、「国立天文台 メールニュース」として装いも新たにし、注目いただきたいトピックスの主要な内容とその詳細情報の参照先をお届けしています。

国立天文台 メールニュース