自然科学研究機構 国立天文台

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No.139: すばる望遠鏡、宇宙最遠の巨大爆発をとらえる

 東京工業大学、国立天文台などからなる研究チーム「すばるGRBチーム(注)」
は、すばる望遠鏡によって、宇宙の最も遠方で発生した巨大爆発現象の距離を
測ることに成功しました。

 この爆発現象はガンマ(γ)線バーストと呼ばれ、大質量星が崩壊してブラッ
クホールが作られるときに発生すると考えられています。2005年9月4日10時51
分(日本時間)に、アメリカのガンマ線天文衛星スイフトによって、うお座の方
向にあるガンマ線バーストが検出され、その正確な位置が全世界の研究者に伝
えられました。GRB050904と命名された、このガンマ線バーストの位置に各国の
望遠鏡が向けられ、次第に弱くなる残光が観測されました。たとえば、東京大
学がハワイ大学の協力を得てマウイ島に設置した口径2メートルのマグナム望遠
鏡でも観測が行われ、極めて遠方にあることを示唆する結果を得ていました。

 すばるGRBチームでは、ハワイ時間で9月6日の晩(日本時間では9月7日)に、こ
の残光を微光天体撮像分光装置(FOCAS)という装置を用い、4時間の露光によっ
て可視光から近赤外線領域にわたる高品質のスペクトル(波長別の光の強さ)を
得て、正確な距離の測定に成功しました。その結果、距離は 128億光年でした。
これは、それまでの記録である123億光年を大幅に破る最遠記録です。たった5
億光年の差ですが、宇宙の始まり(ビッグバン)からの時間でみれば、これまで
の最遠記録は14億年後、 今回のものは9億年後となり、これまでに比べての6割
も宇宙の始まりに近づいたことになります。これまで、人類が観測したもっと
も遠方の天体は、すばる望遠鏡によって発見された若い銀河ですが、これと比
べても約5000万光年近いだけです。 

 今回の観測結果は、ガンマ線バーストの明るさを利用することで、今後さら
に遠方、つまり宇宙創生の時代を探ることができる可能性を示唆しています。
近い将来、ガンマ線バーストが観測できる宇宙最遠の天体となる日がくるかも
しれません。ガンマ線バーストには、これからも目が離せません。

参照:すばる望遠鏡 「すばる望遠鏡、宇宙最遠の巨大爆発をとらえる」
     http://subarutelescope.org/Pressrelease/j_index_2005.html#050912
   東京工業大学「すばる、宇宙最遠の巨大爆発をとらえる」
     http://www.hp.phys.titech.ac.jp/nkawai/grb/050904/

注:東京工業大学、国立天文台、青山学院大学、京都大学、理化学研究所、
  東京大学、広島大学、カリフォルニア大の研究者によるチームです。

       2005年9月13日                        国立天文台・広報室

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