自然科学研究機構 国立天文台

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No.137: すばる、大質量原始星における星周円盤の発見

 日本・中国・英国の研究者からなるチーム(注)は、すばる望遠鏡を用いた観
測により、オリオン座の星雲内にある若い大質量星のまわりに星周円盤が存在
するのを発見しました。

 太陽よりも重い、大質量星がどのように生まれるのか、実はまだよくわかっ
ていません。いくつかの小さな星が合体して大質量星となるという合体説や、
重力収縮で生まれた円盤状構造から、どんどん中心に物質が降り積もっていく
降着説などが考えられています。しかし、これまでは観測的な証拠が乏しく、
決定打がありませんでした。というのも、大質量星は数が少なく、また太陽か
ら比較的遠くにあるために、その細かな星周構造を見分けることが難しかった
ためです。 

 すばる望遠鏡では、大気揺らぎをリアルタイムで補正する補償光学を用いて、
これまでになく詳細に大質量星の周囲を調べられるようになりました。研究チー
ムは、すばる望遠鏡に装着された赤外線カメラ(CIAO)を用いて、このテクニッ
クを利用しながら、赤外線の偏光(波としての光の偏りの性質)を測定すること
で、オリオン星雲の中にあるBN(ビー・エヌ)天体と呼ばれる若い大質量星の観
測を行いました。その結果、この星の周りでの円盤の存在を示唆する結果が得
られたのです。これは、これまで円盤が確認された原始星のなかでは最も質量
の大きな例(太陽質量の約7倍)です。

 この発見によって、大質量星も太陽と同じように、物質の降り積もりによっ
て生まれていることが明らかになりました。この結果は、降着説の証拠を示す
と同時に、高解像度の赤外線による偏光観測という手法が大質量星の星周円盤
の解明に有効なことを示しており、今後、さらに大質量(太陽の10倍以上)の原
始星の解明が期待されます。今回の研究成果は科学雑誌ネイチャーの9月1日号
に掲載されます。

参照:国立天文台 すばる望遠鏡
    大質量原始星における星周円盤の発見
     ~重い星の誕生メカニズムに制限~    
                http://subarutelescope.org/j_index.html
   Jiang, Z. et al., "A circumstellar disk associated with a massive    
   protostellar object" Nature, Vol. 437 No.7055 pp.112-115 (2005).

注: 国立天文台、中国紫金山天文台、英国ハートフォードシャー大学の研究者
  によるチームです。

       2005年9月1日             国立天文台・広報室

国立天文台 メールニュース

国立天文台 アストロ・トピックスは、2010年6月まで発行していたメールニュースです。2010年7月からは、「国立天文台 メールニュース」として装いも新たにし、注目いただきたいトピックスの主要な内容とその詳細情報の参照先をお届けしています。

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