自然科学研究機構 国立天文台

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No.056: 超新星爆発の光が重元素を生成した証拠を発見

 超新星爆発の光が重元素を生成したことを示す法則を日本原子力研究所 光量
子科学研究センター 早川岳人(はやかわたけひと)副主任研究員が発見しました。
この法則を理論計算によって、大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立
天文台 理論研究部の梶野敏貴(かじのとしたか)助教授ら国立天文台と東京大学
の理論グループが検証しました。

 生命の維持には、軽い水素だけでなく、鉄、ヨウ素などの重元素も必要です。
これらの重元素の起源は、太陽系誕生以前に存在した恒星の中で生成されたと
の説が、1983年に星の進化の物理的過程の研究でノーベル物理学賞を受賞した
W. A. ファウラー (William Alfred Fowler) によって約50年前に提唱されてい
ました。現在では、鉄より重い重元素の約99パーセントは、s核、r核と呼ばれ
る、恒星の中での中性子の捕獲反応で生成されたことが判明しています。しか
し、残りのp核と呼ばれる重元素の起源は謎でした。中性子星のX線バーストや
高エネルギー宇宙線、または超新星爆発による生成等の仮説が提唱されていま
した。

 研究グループは、光と原子核の反応の研究の一環として、重元素の合成過程
の研究を行っています。その中で、核図表(原子核を陽子数と中性子から分類し、
同位体比などを記載した図表)において、太陽系に存在する元素の特定2種類の
同位体(p核と、p核より中性子が2個多いs核)の比が、広い領域にわたって一定
であるという法則を発見しました。この法則は、高いエネルギーの光がs核に入
射し、中性子が放出されることで、p核が生成されたことを意味します。このよ
うな天体環境としては、超新星爆発が有力です。そこで、最新の天体観測に基
づく超新星爆発モデルを用いて計算を行ったところ、予測される同位体の割合
がこの法則を満たすことが判明しました。

 この法則は、生命の誕生につながる重元素が、どのような天体で誕生し、ど
のように我々の太陽系の到着したかという問題の解明にとって重要な鍵となり
ます。また、すばる望遠鏡による原始銀河や初期世代星の天文観測によって、
この法則がより詳細に検証されるものと期待されます。

 なお、この研究は10月15日付け、アメリカの物理学誌フィジカル・レビュー
・レターズ誌に掲載されます。


参照:フィジカル・レビュー・レターズ(Physical Review Letters)誌
                          http://prl.aps.org/
   国立天文台 http://www.nao.ac.jp/

      2004年10月14日            国立天文台・広報普及室

国立天文台 メールニュース

国立天文台 アストロ・トピックスは、2010年6月まで発行していたメールニュースです。2010年7月からは、「国立天文台 メールニュース」として装いも新たにし、注目いただきたいトピックスの主要な内容とその詳細情報の参照先をお届けしています。

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