質問3-3

春分の日・秋分の日には、昼と夜の長さは同じになるの?

そう思っていらっしゃる方は多いようですが、実際にはそうではありません。これには主に2つの理由があります。

しかし、理由を考える前に、まず「昼とはなにか」「夜とはなにか」を考えてみましょう。

昼や夜がいつからいつまでなのかというはっきりした定義はありませんが、多くの場合、日の出・日の入が昼と夜の境であると考えます。ここでも、日の出・日の入が昼と夜の境であるとして、昼と夜の長さについて考えてみましょう。

ひとつ目の理由ですが、日の出と日の入の定義を考えてみます。「どうなったときが「日の出」「日の入」?もう真っ暗?」で話題にしたように、日の出も日の入も「太陽の上辺が地平線と一致する瞬間」として定義されています。もしも「太陽の『中心』が地平線と一致する瞬間」と定義されていれば、日の出から日の入まで太陽が移動する道のりと、日の入から日の出まで太陽が移動する道のりは、全く同じになります。しかし現在の定義で昼の長さを考えると、日の出から中心が東の地平線に達するまでと、中心が西の地平線に達してから日の入まで、太陽はより長い道のりを移動しなければなりません。そのために昼の時間が長くなるのです。

もうひとつの理由ですが、地球には大気があるために、地平線近くにある天体は、大気の中を通る光の屈折によって、少し浮き上がって見えるのです。どの程度浮き上がるのかは大気の状態によっても違いますし、地平線に近いほど浮き上がりの大きさは大きいのですが、日の出・入の計算をするときには35分8秒角(時間ではなく角度の単位)浮き上がるとして計算をしています。この効果によって、昼の時間はさらに長くなります。

実際に、2020年の春分の日(3月20日)の東京(注)での日の出・入りを見てみますと、日の出時刻が5時45分、日の入り時刻が17時53分です。この時刻から計算すると、昼の長さが12時間8分、夜の長さが11時間52分となり、昼のほうがずいぶん長いことがわかります。

(注) 国立天文台の日の出・入り等の情報で「東京」と言っているのは、国立天文台の前身にあたる東京天文台が以前あった、東京都港区麻布台2丁目18番1にある「日本経緯度原点」の位置を指しています。経緯度で表した「日本経緯度原点」の位置は以下のとおりです。
東経 139度 44分 28.8869秒
北緯 35度 39分 29.1572秒(世界測地系)
標高は、この場所の実際の標高ではなく、0メートルとして計算しています。本文へ戻る

関連リンク

このページをシェアする