すばる望遠鏡が観た宇宙の姿 ―すばる望遠鏡20年の研究成果―すばる望遠鏡が観た宇宙の姿
―すばる望遠鏡20年の研究成果―

吉田道利
ハワイ観測所所長

TOPIC 00
イントロダクション

すばる望遠鏡は1999年1月にファーストライトを迎えた。その後、調整・試験を経て、2000年12月より共同利用観測を開始した。一体いつの時点をスタートポイントとするかによって異論はあろうが、2019年はすばる望遠鏡の運用開始20周年である、と定義することとする。本ウェブサイトでは、この20年間にすばる望遠鏡を用いて達成された科学成果を振り返ってみたい。

すばる望遠鏡の写真

20年という時間は、長くもあるが短くもある。赤ん坊が成年となるほどの時間だ。望遠鏡に寿命があるとして、それはどれぐらいの長さだろうか。世界を見回すと、50年以上活躍している望遠鏡はたくさんある。例えば岡山の188cm望遠鏡は建設以来58年を経過し、なおも現役である。パロマー5m望遠鏡は70歳である。これらの望遠鏡に比べれば、すばる望遠鏡は抜群に若い。人間と同じく、20歳にしてようやく成年に達したという感じであろうか。

とは言え、すばる望遠鏡はその幼年期から優れた性能を発揮し、多様な科学成果を生んできた。すばる望遠鏡は光赤外線観測でカバーできるあらゆる天文学分野で際立った成果を挙げている。そのすべてを網羅することは私の手に余るが、プレスリリースされた成果に基づき、いくつかのトピックを紹介しよう。