金星が太陽の前面を通過します
金星の太陽面通過は何年ごとに起きるか?
今回の金星の太陽面通過は世界的には122年ぶり、日本で目撃できるのは実に130年ぶりという珍しい現象と
なっていますが、いったい何年ごとにおきるのでしょうか?
金星は水星と並んで内惑星、つまり地球よりも内側を回る惑星です。したがって、しばしばつまり太陽と地球
との間にきて、内合となります。地球の公転周期は約365日、金星は224日なので、内合となるのは、その会合周
期である583日ごととなります。そのたびに太陽面を通過してもいいようなものですが、そんなに頻繁に起こるわ
けではありません。なぜなら地球の軌道面と金星の軌道面とがずれているからです。両平面の傾きは3度もあり
ますので、ほとんどの場合、金星は地球から見て太陽の北か南を通過してしまうのです。もし、両者の軌道面が
ぴたりと一致していたら、約1.6年ごとに太陽面通過が起きていたはずです。
さて、金星の太陽面通過が起きるためには、両者の軌道平面の交わったところで内合になる必要があります。
すなわち、金星の昇交点、あるいは降交点のどちらかです。前者は地球では12月8日、後者は6月7日に通過します。
実際には太陽に大きさがありますので、前後1日程度ずれても起きることになります。
今回、太陽面通過が起きるのは2004年6月8日。会合周期を繰り返していくと、5回目でちょうど7.9935年とな
ります。これは8年に2.4日足りない値です。つまり、ある会合から8年と2.4日前にほとんど同じ会合が実現す
ることになります。2004年6月8日の次は、2012年6月6日となり、このときにも金星は太陽面通過が起きるわけ
です。ところが、この後は8年後が6月4日、さらに8年後が6月1日となって、2日ずつ早くなり、降交点を離れて
しまうので太陽面通過は起きません。つまり、8年をおいて同じ時期に金星の太陽面通過が起こるのです。タイ
ミングによっては、一回だけというのもあります。3089年12月18日に起きる金星の太陽面通過は、8年の繰り
返しが無い単独の現象とされています。
一方の昇交点側でも事情は同じとなります。降交点で太陽面通過が起きるとき、その1回後の会合場所は、
583日後の場所、つまり昇交点の位置から約36度ほど行き過ぎた場所となります。この会合の場所が8年ごとに
2.4日ずつ動いていき、昇交点に達するのに約121年かかります。というわけで、金星の太陽面通過の次のセッ
トは、2004年の113年後、つまり2117年12月11日となります。このときにも8年後の2125年12月8日から9日にか
けて、再び起きることになっています。