明るい彗星がやってくる

 〜今年の春に期待される二つの肉眼彗星〜



肉眼で見えるような彗星が二つ同時に見えるのは珍しいか?

 肉眼で見えるような明るい彗星は、平均すれば十年に1−2個程度は出現します。90年代には、1996年に百
武彗星、1997年にヘール・ボップ彗星という二つの彗星が出現しました。後者は、きわめて大きな彗星だったの
で、何ヶ月も肉眼で見えていました。しかし、通常一つの彗星が肉眼で見えるほどの明るさを保つ期間は、せいぜい
1ヶ月以下と短いことが多いものです。ですから、今回の二つの彗星のように、明るくなる時期がほぼ重なって出現
すること、さらに同時に夜空を飾る条件となるのは、珍しいことといえるでしょう。これまでのところ、肉眼彗星が
過去、ふたつ同時に夜空に現れ、それが目撃された例としては、1618年第2彗星と第3彗星の例が指摘されてい
ます。1911年にも同様の事例がありますが、こちらは条件が大変悪く、目撃例もないようです。いずれにしろ、
それ以来、約400年ぶりの二大彗星の競演といえるでしょう。
 ただ、彗星の明るさの予測は非常に難しく、期待通り明るくなるかどうかは予断を許さない状況です。また、ご存
じのように日本を含めて北半球からは、リニア彗星の観測条件がたいへん悪いため、明るくなったとしても二つの彗
星が並んだ姿を見ることは難しいと考えられます。