なぜ2003年?火星と地球の距離は刻々と変化します。それはどの惑星についても同じこと。惑星が楕円軌道を描いて、運動しているからです。軌道の大きさや扁平の度合いが火星と地球では違っているため、太陽のまわりをそれぞれの惑星が一周する時間も違ってきます。火星は687日で一周、地球は365日で一周です。 下の図を見てください。内側の青い曲線が地球の軌道、外側の赤い曲線が火星の軌道です。地球は火星の内側をより速く回っているので、地球は周期的に火星に追いつき、追い越すということを繰り返します。地球が火星を追い抜こうとするとき、太陽と地球、火星は一直線に並びます。このときは、火星観測の絶好のチャンスになります。なぜなら、火星と地球の距離が近づいていて、火星と地球の距離が近づくため、火星は大きく明るく見えるからです。このような接近は約780日ごとに起こります。 さて、もし、地球が火星を追い抜くタイミングと火星が太陽にもっとも近づくときが一致したらどうなるでしょうか? このとき地球と火星の距離が最も近くなり、5千5百万キロメートルになります。一方で、火星が太陽から最も離れたときに地球の追い抜きがおこると、火星と地球の距離は、9千9百万キロメートルになってしまいます。 今年の夏は、最初の場合、火星が最も太陽に近づいたときに地球による追い抜きが起こるため、火星観測に最適な条件がそろうというわけです。このチャンスを利用して、地上からの観測だけではなく、さまざまな人工衛星による火星探査計画が進んでいます。
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