電波で探る宇宙
問題1
ALMAというのは,日本と北アメリカとヨーロッパの国々で南米のチリに建設することを計画している電波望遠鏡です.この電波望遠鏡を全部で80台(直径12mのアンテナ)を並べます.そして,これを標高5000mのところにもっていきます.アンテナの重さは,1台あたり100トンぐらいあるのですが,これを必要に応じて動かして,最大14kmぐらいの範囲に配置します.目の良さでいいますと,東京から大阪に落ちている10円玉を見分けられるぐらいの性能を実現します.これによって,光を発することのない生まれたての星や惑星,銀河を観測したいと思っています.今から作り始めますので,2011年ぐらいまでかかりますが,早く作って皆さんに使っていただきたいなと思っています.
問題2
「星間雲」とは,星の間にある雲と書きます.皆さんは,星と星の間は真空だというのは,ご存知だと思いますが,本当に真空なのではなくて,ごくわずかな分子が含まれています.星と星の間でも特にガスが濃くなっているところを「星間雲」と言って,そこから星が生まれているのです.宇宙の物質のほとんどは,水素分子や水素ガスでできているのですが,「星間雲」のほとんどは水素分子で,その中に少しだけ,ヘリウムとさらに,水とか一酸化炭素とかアンモニアが含まれています.最近の電波望遠鏡を使った研究で「星間雲」には,その他にもアルコールや糖や簡単なアミノ酸のようなものも見つかっています.これから高性能な望遠鏡を使うことによって,宇宙の中で物がどのように構成されているのか,そんなことを調べようと思っているところです.

身近な天体
問題1
今から46億年ぐらい前に,できたばかりの地球に,火星ぐらいの大きさの天体がぶつかってきて,その時に地球のまわりに,破片がたくさんばらまかれました.そのばらまかれた破片から,月が,だいたい1ヶ月から1年ぐらい時間をかけて,集まって,まとまって,今の月になったと考えられています.

天文台の望遠鏡
問題1
いま,ここに展示してあるのは,日本で最大の屈折望遠鏡(65cm)です.この望遠鏡は,42年程前までは日本で最も大きな望遠鏡として活躍していました.岡山の天体物理観測所の188cm望遠鏡,最近では,ハワイにあるすばる望遠鏡の8.2mという大きな望遠鏡がありますが,このような望遠鏡は全て反射式望遠鏡(鏡によって光を集める方式)です.しかし,ここの望遠鏡は,レンズを使って光を集める方式の望遠鏡です.世界には直径101cmの望遠鏡がありますが,日本では京都大学の望遠鏡と並んで最大のものとなっています.この望遠鏡をはじめ,さまざまな天文学と天文台の歴史についての展示があるので,ご覧いただければと思います.
問題2
VERAは,VLBI,電波望遠鏡の一種で,口径20mの電波望遠鏡が,岩手県水沢,鹿児島市,沖縄の石垣島,小笠原諸島の4つ配備されています.これらを結んで,銀河系の中を観測していくと,それぞれの天体までの距離が精密に測ることができます.また,距離だけではなく,それを何年間か測っていくと,それが,銀河系の中心を天体がどれぐらいの速さでまわっているのかということがわかります.ちょうど太陽の回りをまわっている惑星から太陽の重さを測ることができるように,中心の回りをまわっている天体の速さを精密に測ってあげると,銀河系の重さがわかります.重さがわかると,今,天文学で非常に大きな問題としてダークマター(暗黒物質)というのがあります.その名のとおり,それは見えないのですが,それは,中心の回りをまわる速さを精密に測ってあげることによって,わかってきます.
問題3
すばる望遠鏡は,国立天文台が,ハワイのマウナケアにつくった望遠鏡です.光を集めるための鏡の口径は8.2mあります.この大きな望遠鏡を使うことによって,非常に遠くにある銀河を探して,宇宙の果てにせまったり,星や惑星が誕生する現場をとらえたり...そういう研究を私たちはすすめています.